ドリーム小説
宵闇 喜八郎12
目の前で自分を庇うように立つの姿。
守られる形なのが癪にさわるよりもなにより、いとおしいという気持ちが溢れた。
私は悪ものかとため息をついた彰義さんに頷きながらが撫でられるのを見る。
が、限界が来て思い切り引き寄せた。
泣かせなどするものか。
去って行った彰義をそのままにをぎゅうと後ろから抱きしめてその体温をの感触を味わう。
黙ったままの私に耐えきれなくなったように名前を呼ばれてさらに愛しさが溢れる。
そっと懐から髪飾りを出してつける。
思った通りそれはとてもに似合って。
それに手をやって一拍後なぜかの顔が赤くなった。
「ねえ、」
知ってる?こんなにも君の名前を呼ぶ時、想いをこめていることを。
「私のこと、」
壊さないように慈しむように
「好き?」
そう聞けば驚いたように赤くなっていく耳。
こくん、一つうなずいてくれてうれしくなった。
でも、言葉で言ってほしくて
「じゃあ、私のこと好きって言って?」
いじわるするように耳元で再度聞けばさらに赤くなる。
辛抱ずよく待って待って。
そして、意を決したようには振り向いた。
赤い赤いリンゴみたいな顔に食べちゃいたくなる。
それを抑えて、を見れば伸ばされる手。
首に回る温もり
耳元の吐息
「好き、だよ、喜八郎」
囁いた声
ああ、もう、なんでこの子はこんなにも可愛くていとおしくてあったかくて
ああもう、大好きだ
たまらなくなってその体を思い切り抱きしめた
「すき、すき、すき、大好き、。」
何度告げても足りない
何度口にしても足りない
それ以上に好き。
どうやったらもっと伝わる?
どうやったらもっと近くになれる?
ぎゅうぎゅうと抱きしめ続けていれば上から降ってきた声。
「まあ、彰義さんの許可の次は私の許可が必要だがな。」
それは好敵手の一人のもの。
「三郎先輩!」
見上げたそこには楽しげに意地悪げに笑う蒼。
「は私の委員会のだ大事な後輩だ。」
べりりと音を立ててはがされて、の温もりが離れる。
「そう簡単には手を出させないよ。」
そう言って鉢屋先輩の腕に収まった。
頼むからそんな風に無防備になるのは私の前だけにしてよ。
あまりにも危機感の薄い彼女にどうしようもなく脱力しながらもそんな子の子が可愛いと思う私は相当だろう。
※※※
喜八郎編終了
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