ドリーム小説








宵闇 三之助1






















「見つけた、三之助」


裏裏山のそのまた奥。

探し求めていた後輩はそこにいた。







「・・・、三之助を見なかったか?」


ぼろぼろの姿でそう言って現れたのは滝夜叉丸。

その後ろには魂が抜けそうな四郎兵衛と金吾もいて。


「あ〜ごめん、みてない。」


そう言うのがなんだか渋られた。

見ていないという言葉にがっくりと肩を落とす三人。

この組み合わせということは考えるまでもなく委員会だろう。

「せんぱあい・・・」

「何処行ったんですかねえ・・・」

「二人とももう少しだ、頑張れ!」

へたりと項垂れる後輩二人を励ます滝夜叉丸。

その姿にいい先輩をしているようだなあ、となんとなしに思って。

「四郎兵衛、金吾、少し俺の部屋で休んでいきな。」

その言葉にきょとり不思議そうな顔をした二人。

それが可愛くて廊下から地面に降り立ち二人の頭をなでてやる。

「変わりに俺が滝と探してくるから。」

「・・・いいのか?

いつもであれば、断るであろう滝夜叉丸がへちょりと眉を下げながら聞いてくるものだから、なんだかおかしくて。

まあそれだけ切羽詰まっているのだろう。

「どうせ暇してたからな。いいよ。」

今日は委員会活動がないであるのでまあ、時間はあいている。

現に図書室に行って本でも借りようかなあと思っていたくらいだから。

二人の後輩を部屋に連れて行ってお茶と饅頭を出してやる。

「ありがとう、ございます・・・。」

この二人も大分くたびれているのだろう。

目がうつろだ。

   大丈夫です!僕らも行きます!

   そんな疲れ果てた状態で行くと二次被害になるかもしれないだろう?
   ここは俺たちに任せておけ。

先ほどそんなやり取りをしたからか二人はとてもおとなしかった。











あの襲撃から大分時がたって、もう傷は癒えきっていた。

それはタカ丸も秀作も三之助も、であった。

三之助が方向音痴なのも、日常茶飯事である迷子も理解しているのだがそれでも長い間体を動かせなかったのだ。

心配になるのも当然である。


「小平太先輩も探してらっしゃる。・・・私たちがいないことに気がついていれば、だけどな。」

滝夜叉丸と二人山の中を走っていて、最高学年の緑が見えないから理由を尋ねればそんな返事。

どうやら小平太の速度についていくのに必死になって三之助を見失い

それに気がついたら小平太から目を離してしまったと。

そう言うことらしかった。




「巻き込んですまないな。」

「気にするな。三之助なら何度も探したことがあるからすぐに見つけてやる。」

しょぼんとした滝夜叉丸に笑って告げてやる。


「頼りにしてる。」


ようやっといつものような笑みを見せた滝夜叉丸と一度別れて各自探すことになった。





そして見つけた三之助は木に背を預け空を見上げていた。



「見つけた、三之助」

「・・・先輩?」



その言葉にぱちくりと目を瞬かせて三之助はの名を紡いだ









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