ドリーム小説
宵闇 三之助11
見つけた輩を一瞬で排除して。
そうして掴んだ三之助の手。
それは自分とは違う男の人の手。
そして同時にとても愛しい人のもの。
感情が溢れて溢れてどうしようもなくなって、気がついたら三之助の体に抱きついていた。
「!せんぱ、」
驚いたような声。
そっと背中にまわされた手がを抱きしめて。
それにこたえるように手を背中にまわした。
「っ、」
「たのむ、から・・・」
溢れる言葉は次々と
「頼むから勝手にいなくなるな」
涙が溢れるのと同じ速度で
「俺の前から勝手に消えるな」
じわりじわり服に吸い込まれる雫達
「俺の見えないとこに」
お願い お願い お願い どうか
「いかないでっ、」
懇願のようなそれは切なる願い。
「じゃあ、先輩が俺のことをずっとつないでおいてくださいよ。」
その言葉と共にくい、と顔をあげられて。
至近距離でその強い目に射抜かれた。
「先輩が俺のことつないでいてくれるんだったら」
射抜く強さはそのままに
「俺はどこにも行きません。」
こつりと額同士がくっつく
「あんたのそばにいますよ。」
くっ、と楽しそうに、嬉しそうに笑うものだからどうしようもないくらいにかっこよく見えて。
その目から逃れるように三之助の胸に顔をうずめた。
「大好きですよ。先輩。」
そう言って耳元で笑う三之助。
赤くなる顔も、ときめく心も
全部全部あなたのせいだ
だから、責任とって、ずっとずっと、時間が許す限り
傍に
「俺も、三之助のこと、好き、だ」
「っ、三之助っ!」
あの時と同じ光景
違うのはあんたの顔が泣きそうに歪んでたこと。
飛び出してきたそのままで、俺に抱きついてきた。
その柔らかさにいいにおいに体が勝手に反応して抱きしめ返す。
その温もりがいとおしくてさらにぐっと強く抱きしめればぎゅう、と今まで固まっていた腕が俺の背中に回った。
「っ、」
「たのむ、から・・・」
驚いて息を漏らせば先輩の小さな声。
「頼むから勝手にいなくなるな」
それは震えていて
「俺の前から勝手に消えるな」
濡れて行く服はあんたの涙。
「俺の見えないとこに」
縋るように出された言葉は
「いかないでっ、」
とても嬉しいものだった。
「じゃあ、先輩が俺のことをずっとつないでおいてくださいよ。」
くい、と顎をもって持ち上げればぶつかる黒曜石のような瞳。
柔らかな瞳は微かに濡れて俺を映す。
「先輩が俺のことつないでいてくれるんだったら」
頼みますからそんな瞳を俺以外に見せないで。
「俺はどこにも行きません。」
こつりと額同士をくっつけて
「あんたのそばにいますよ。」
手に入ったことの喜びが溢れて笑えば顔を赤く染めて俺の胸に顔をうずめた先輩。
「大好きですよ。先輩。」
「俺も、三之助のこと、好き、だ」
恥ずかしげに返された言葉。
ああもう絶対に
可愛くて可愛くてたまらないほどのあんたを
食べてしまいたいほど可愛いあんたを
心の底から大好きなあんたを
手放したりなどするものか。
※※※
三之助編終了
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