ドリーム小説
宵闇 弐ノ肆拾参
の見舞い、と称して医務室に来るのは幾度目か。
片手はすでに突破した回数だが、気にはしない。
可愛い後輩のためならば。
いつもであれば誰かしら一緒に行くのだが、今回は皆が皆捕まらなくて私一人だ。
「ごめん、三之助」
医務室の前に着いた時、中から聞こえてきた声に、襖にかけていた手が止まった。
謝る姿が容易に想像できる。
ごめんと幾度も繰り返して、瞳に零れそうな涙をためて。
4年間、ずっと見てきたから。
がこの場所に来てから私と同じ委員になってから、ずっと見てきたから。
だからこそ、あの子がどれほどまでに後輩を大事に思っているかも知っていたし
この場所が大好きなのかも知っている
自分の手が全てを守れるほど大きくないということを理解している癖に目に映るものすべてを守ろうと救おうとする。
だからこそ、こうやって自分の力不足を嘆く。
嘆くだけでなく、さらに先により先を望む。
それが私の中のという存在。
だから、愛しいと思うのだ。
可愛いと思うのだ
後輩に向けるそれとはどこか違うそれ。
(わかっているけど知らないふり)
この感情を伝えるつもりはさらさらないけれど
(だっていずれは敵対するかもしれないのだ)
だからこそ、いまはいい先輩を演じるのだ。
だが、この状況はいただけない。
くぐもったの声。
重なった影。
気づいたら襖をあけて言葉を発していた。
「さて次屋。そろそろその手を離そうか?」
赤い顔のと邪魔されたという顔をする次屋。
とてもわかりやすいその光景に微かに笑みが漏れた。
※※※
三郎視点
襲撃編終了、次から恋愛編
分岐というよりも始めから分岐。
/
戻る