ドリーム小説

逃げ脚だけは一流です 16









をどうするつもりですか」

導師が六神将にその言葉を投げたことで、行方しれずであった彼女の所在が明らかになった。
何もいわずに消えるような性格ではない。
理解していたそれは現実と違っていて。
利用価値はなくはない。
むしろ私がほしいと感じた知識を、彼女は所持していて。
それはつまり、ほかにも求められるものではある。

「イオンだけでなくまでさらったのか?!」

ルークの怒りにあふれる声。
小さく息をのむティア。
ゆるり、目が鋭くなるガイ。
誰のことかと首を傾げるナタリア。
イオンを背にかばうポジションに立つアニスはぎゅっと手を握りしめていて。

「さあ?ヴァンの考えることは僕にはよくわからないからね」

くつり、仮面の裏で笑っているのだろう。
楽しそうに烈風のシンクが言葉を返す。

「ま、あいつが逃げない限り命までは取らないと思うけど」

「・・・、お願いですからじっとしていてください」

小さくつぶやかれた導師の声は誰よりも如実に私たちの言葉を表していた。

















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