ドリーム小説
逃げ脚だけは一流です 2-21
ルークが掲げた剣が光る。
今にも泣きそうな表情で、彼は力を、思いを込めて。
_俺がやる、おまえはローレライを解放しろ!_
そう叫ぶアッシュを突き飛ばし、その手から奪うローレライの剣。
「残すのなら、レプリカよりオリジナルです」
取り戻そうとルークへ向かうアッシュを止めるのはジェイドさん。
「やめて、ルーク!!」
叫びルークへと手を伸ばしたティアをガイが押さえて。
「馬鹿野郎がっ」
ガイの言葉はひどく苦く、落とされて。
_一緒にいて_
そう願われたのだから、そばにいないわけにはいかない。
止めようとするティアを、アッシュをそのままに、足を進めるのは彼のそば。
期待を抱いたアニスに困ったように笑って見せて、そっとルークに寄り添った。
目を細めたジェイドさんに知らないふりを決め込んで。
第七音素を身に宿す私だけれど、それはあくまで後で取り入れられた要素。
今、この場所で巻き込まれたとしても、”私”は消えない。
紡ぐ譜術は癒しの旋律。
横でふるえる幼子を、救うために。
彼に集まっていく光。
弱まるそれに、あわてたようにアッシュが駆けつけて。
ふわり、薄れる二人の姿。
それでも、まだ、大丈夫。
強く紡ぐ旋律は、二人の体を柔らかく包んで。
宝珠の力によって収束を拒まれても、二人の超振動はそれを上回って。
ひときわまぶしい光があたりを包んだその後、
「ルーク、アッシュ。お疲れさま」
倒れる二人を上からのぞき込んで、薄れた手のひらをぎゅう、と握って。
惚けたように見上げてくる二人の口の中にぽい、と薬を放り込んだ。
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