ドリーム小説
逃げ脚だけは一流です 48
「姫様!?なぜお戻りになられたのですかっ!」
バチカルの入り口。
自国へもどってきたお姫様に兵士たちは混乱を見せて。
けれどもそれは、姫様の身を案じるもの。
それに対してお姫様はとてもきれいに笑ってみせて。
「連れのものは等しく私の友人であり、ダアトがその身柄を保証する方々です」
イオンが、威風堂々と告げる。
一般の兵士がそれに逆らうことなどできるはずもなく。
上へと向かう音機関の前。
下がってくるそれを、皆で待つ。
「姫様」
緊張からだろう。
こわばる姫様の手をそっと握ってのぞき込む。
そうすればとても弱々しい声で名前を呼ばれて。
答えるようにぎゅ、と力を込める。
「私が言いたいことは、伝えたいことはこの間全部言ったからね。今一つの言葉以外、ここで言うことはないよ」
縋るように手が握り返された。
「行ってらっしゃい。全部、いいたいことぶつけておいで」
大丈夫、素直に、あなたのままでいられるならば、なにも怖いことはないよ。
そっと握っていた手を説いて、一歩、さがる。
「私はみんな以上にお城に入れる理由はないからね。ここで待ってるね」
そう告げてみんなの背中を優しく押す。
いってらっしゃい
その言葉がみんなを強くするって知ってるから。
何か言い足そうなルークにふわり、笑って。
しっかりと前を向いた姫様。
大丈夫、大丈夫
血のつながりなんかよりも、ずっと強いものであなたたちは結ばれているんだから。
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