ドリーム小説

逃げ脚だけは一流です 50









飛行石
アルビオールが飛ぶために必要な石。
それは依然ディストによって取られたままである。

やってきたダアト。
目的は先に述べたとおり、飛行石の奪還、アルビオールの機能回復のため。
ディストからの丁寧すぎる手紙(ダアトにはないったらないんですからね!という内容。)により、あっさり目的の場所へとたどり着く。
熱心に修行を行うライナーへ眠り薬をかがせる&ティアの譜歌という荒技で眠りについていただき、奪還は完了。
あっけなさすぎるそれに、非常に申し訳ない気持ちになった。



本当はすぐにでもダアトからでる予定だったのだけれども、時間の関係でダアトの宿屋にて一夜を明かすことになった。
皆がもう寝静まったであろう時間。
水をもらおうと一階へと降りれば眠れなかったのか、紅がそこにいて。

「ルーク」

名前を呼べば、ゆるり、こちらをむく緑色。
私をうつしてふわり、ほほえんだ。

「ねえ、

暖かなミルクを宿の人に入れてもらって、ふたり並んでそれを飲む。
鮮やかな紅をまとう青年は、瞳をかすかにかげらして言葉を探す。

は、知ってるんだよね」

これからのことを。
言外にあるその単語。
それを感じ取ってそっと緑色の瞳から視線をはずす。
あまりにもまっすぐすぎるそれに、素直にうなずくのは難しくて。

「ごめんね、ルーク」

私だけ知ってしまっている。
これからのこと。
ルークが、みんなが知りたがっている結果を、私は知っている。
どうなるか、どうなっていくか。
うまくいくのか、いかないのか。
知れるならば知ってしまいたい。
それは未知をおそれる人間の本能のよう。
きっと、預言も同じで。
ルークもきっと知りたいだろうに、聞いてくることはなくて。
ただ盲目的に信じてくれる。

「ごめんね、ルーク」

再度告げる謝罪の言葉。
ルークは笑う。

「謝らないで、

柔らかな声。
穏やかな瞳。
なだめるように、納めるように。
彼は紡ぐ。

「知ってるほうだって、つらいだろ?」

彼の言葉は直球で。
だからこそ、痛くて。

「ユリアも、きっとそうだったんだろうね」

彼は笑う。
切なそうに、困ったように。
無知ではいけないと知識を求めて
未知は怖いと知りたがって
預言という確かな情報を手にした人たちはあっさりと考えることを放棄した。
そして、今に至る。

、俺はね、教えてほしくはないんだ」

これからのこと。

「でもね、背負うから一緒に」

はいつも俺の背中を押してくれる。が迷うなら、俺が背中を押すよ」

優しい優しい聖なる炎。
彼はそういって私の背中を押してくれた。












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