ドリーム小説
逃げ脚だけは一流です 60
ケテルブルクにほど近い、ロニール雪山。
向かった理由はパッセージリングの操作のため。
けれど簡単にたどり着けるわけもなかった。
やはり、ふるえた。
二対の銃。
金色の髪。
見下ろしてくる冷たい瞳。
私たちの前に立ちはだかったのは六神将。
リグレット
ラルゴ
そして、アリエッタ。
皆が皆武器を構えて、ただこちらに向かって視線を投げる。
「」
小さな声。
アリエッタのそれに視線を向ければ彼女はぎゅう、とこらえるように唇をかんでいて。
「私、と戦うの、いやです」
しょんぼり、と肩を落として彼女は告げる。
ぎゅう、と捕まれすぎたぬいぐるみが変形している。
「・・・」
かわいい。
きゅん、ってした。
「、なにを解されているんですか?」
ジェイドさんが横から口を挟む。
「・・・」
今にも泣きそうになりながらこちらを見るアリエッタはもう、本当に、かわいい。
べしり
頭に衝撃。
「・・・いたい」
「ぼーっとしてるあんたが悪い」
シンクが不機嫌そうに頭を再度叩いてくる。
いや、だから痛い。
「!アニスちゃんよりアリエッタのほうがいいっていうの!?」
「うわっ、」
後ろからはアニスのタックル。
だから痛いってば!
「アニス邪魔しないで!!」
「ネクラッタは黙ってて!!」
私そっちのけで言い合いを始めた小さい子二人。
これはあれを言うべきなのか___?
「・・・私のために争わないで?」
ぼそっと本当に小さい声でつぶやいてみた。
ら、
「・・・なにいってんのさ」
シンクに引かれた。
なんか、ごめん。
キン
ふざけていれば銃弾が足下に打ち込まれる。
私ごときがよけれるはずもなく、もちろんシンクに捕まれて回避しましたけれども。
見やればとてつもなく冷たい視線を向けてくるリグレット。
ぞくり、とまだ消えない恐怖が呼び起こされる。
さりげなく私を抱えたままのシンクにすがりつけば、落ち着かせるようになでられる。
「守られるしかできないならば、今すぐ帰ることを進めよう」
温度のない声。
嫌われているのだと、そうとしかとれない。
「__守られながらでも、私にしかできないことがある」
じとり、汗がにじむ手のひらをにぎり、告げれば、リグレットの瞳がさらに鋭いものになって。
「リグレット」
シンクがかつての仲間を呼ぶ。
そうすればリグレットは私ではなくシンクに目をやって。
「これ、こんなんでも僕のお姉ちゃんなんだよね。・・・あんまりいじめないでくれる?」
・・・!シンク!!
お姉ちゃん、その言い方が非常にかわいくて思わずシンク背中をばしばしとしばく。
もちろん彼に抱えられたままでである。
「落ちたものだな」
リグレットの返しにシンクは形のいい眉を潜めて低く声を放った。
「うるさいよ。あいつに着いていくしか脳のない奴に言われたくないね」
ちらり、視線を受けてシンクを見上げる、が、あっさりとそれははずされて。
「それに___僕が僕で選んだ道だ」
代わりとばかりに告げられたそれに思わずぎゅう、とさらにすがりついてみた。
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