ドリーム小説
記憶を辿って188 次は彼らとともに生きてみたい
「なあ、。今日お前のバイト先に皆来るって聞いたんだが。」
ホームルームも終了して、放課後。
皆が解放されて楽しそうに教室を出ていく中のもとに近づいてきたのは孫兵。
かばんに荷物を片づけながらそれに頷く。
「孫兵君も、来るよね?」
返事はわかっていても、問えば何故か一瞬躊躇されて。
「・・・ああ、行くよ。」
微かにそっぽを向きつつも帰ってきた同意。
それにふわり笑えば、孫兵も同じように笑い返してくれて。
「」
出入り口から名前を呼ばれる。
そちらを見ればすでにかばんを持って、帰る準備万端な中学三年生メンバーたち。
「孫兵も、ほら行こうよ。」
藤内の言葉に続いて数馬が孫兵も呼ぶ。
「作、こっちだよな!」
「いやいや、こっちだろう。」
「いいからお前らは動くな!」
ちなみにその後ろではすでにどこかに動こうとしてる三之助と左門を必死に作兵衛が止めていて。
「本当に変わらないね。」
「・・・まあな。だが、変わったこともある」
孫兵を見ずにかばんを肩にかけて一歩踏み出して。
そしてその言葉に思わず止まる。
「変わったこと?」
振り向いて問えば、ふわり、珍しいまでの柔らかな笑み。
「あの世界では友になれなかったお前が、が共にいる。」
どうか、どうか、叶うならば 次は彼らとともに生きてみたい
目を見開いて、孫兵の顔を凝視していれば、ふっ、と軽く笑われて。
ぽんぽんと、すれ違いざまに軽く頭を叩かれてたちを待つ出入り口へと向かう。
「ふふふ、皆に会えるの楽しみだね。」
ふわふわふわり、柔らかな笑みを浮かべているであろう数馬の声。
「楽しみって言えば楽しみなんだけどな。・・・暴走しなければ。」
苦笑しているであろう藤内、それでも声は明るくて。
「左門、三之助、止まれって!!」
迷子へと向かう作兵衛の声は、怒りの中にどうしようもないあきらめの色。
「こっちだろう!」
止まることをしない、左門。その声はひどく楽しげにはしゃいでいて。
「左門、そっちに行ったら屋上だ。」
落ち着いた孫兵の声。それでも穏やかな声色は彼の心境を物語る。
「行くぞ、。」
三之助の、声。
ゆっくりと振り返れば伸ばされた手。
差し出されたそれは、触れられる距離にあって。
それに触れることが許される関係で。
少しだけためらいながら手を伸ばせばそれを待ちきれぬかのように、三之助の手がをつかんで引っ張り込む。
よろめいたを軽々と支えて。
周りを見れば、穏やかな、優しい、笑み。
「行こうか、皆」
大事な友に、ふわり、笑って返事をした。
※※あとがき※※
記憶を辿って、全188話でどうにかようやっと完結となりました
ここまでお付き合いくださってありがとうございました。
見事にまるっと約一年でなんとか完結。
はじめは3ろの三人組と三年生しかやるつもりなかったのに、気がつけば全学年とか。
こんなにも長い間お付き合いくださってありがとうございました。
また応援コメント、感想コメントなど下さった方、大変励みになりました。
至らないばかりの作品でございましたがここまでこぎつけられたのも皆様のおかげです。
そんな皆さまに心の底からの感謝を。
さて、残念ながらあまり活躍させられなかった人たちも多いのでしばらくは番外編という形でいくつかUPできたらいいなあ、
と考えております。
もしも、この人を!という希望があれば拍手やメールからコメントくだされば描く可能性が上がります。
まだまだ就活でなめくじさん更新が続きますが、ぼちぼち長編にはならない10話くらいのお話をちょくちょくupしていこうかなと思ってます。
それでは、本当にここまでありがとうございました。
2012年 2月11日 煌那蔵
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