ドリーム小説










魔法103





















ちゃん。」

再び彼は立ち上がり、今度はゆっくりと私から距離を取る。

「ダンスパーティ、一緒に行こっか。」

先ほどまで話を一切無視した誘いに、思わずぽかん、と口を開けて彼をみる。

くるり振り向いた彼は楽しそうに笑っていた。

「かわいいメイクを施して」

その表情は先ほどまでと違って

「きれいなドレスをまとって。」

確かに、楽しそうな笑み。

「とびっきりのおしゃれをして」

揺れる瞳はいつもの色に

「誰もが見とれるくらいになって」

微かに震えていた声は元通り。


「俺が持たないこの世界での唯一に」


羨ましそうに、彼は言った。


「想いを、伝えてみなよ。」


まるで、今までの会話すべてをなかったように。


目の前に手を差し出される。

彼の顔と手と、交互にみれば、促すように手が揺れる。


ダンスパーティだなんて、全く持って聞き慣れないもの。

いったいどんなものなのかも想像つかない。

だからこそ、もし行くことが許されるなら、教授とがよかった。


徹底的に距離を置かれ出した、今、それは不可能になってしまったけれど。


「ほら、ちゃん。」


綺麗になってみかえすとか、そんな想いがあるわけじゃなくて。

ただ、純粋に私をみてほしい。



そっと、睦月君の手を、とった。



と、


ばちん、と激しい音を立てて腕に衝撃が走った。

何事か、と思うより先に、体は両側から温もりに挟まれて。

「「見つけた!!!!」」

耳元で全力疾走をした後のような荒い声。

それでも同じ声なのはさすが双子と言うところか。

「・・・フレッド、ジョージ?」

両側の二人の名を呼べば、どこか安心したような声で返事が返る。

「まったく!、君って子は!」

「なんでいつだってじっとしてないのさ!」

言われている言葉に理解が追いつかず、首を傾げる。

目の前の睦月君は微かに笑みを浮かべてこちらを傍観している。

「・・・何事ですか?」

ぺしぺし、と肩に回された腕を叩く。

と、二人は腕を外してぐるり、前に回り込んだ。

「「、僕らとダンスパーティに行こう!!」」


なんてタイミング。

思わず黙り込んだ私に、二人は怪訝そうに眉をひそめて。

「ま、さか、・・・!」

「薬学教授と一緒に・・・!?」

愕然とする二人に苦笑が漏れる。

「残念ながら、教授は私なんかとは一緒に行ってくれないですよ。」

発した言葉は思った以上に小さくて、落ち込んでいるのがばればれだ。

だというのに、目の前の二人はぱっと表情を明るくして。

「じゃあ、、僕らと行くのに」

「もう邪魔ものはいないね?」

とのたまった。

が、

「はい、ストップー。」

もちろんそれを止めたのは、通常道理すごく笑顔の睦月君。

「二人とも遅かったねー!」

にっこにこと笑いながら睦月君は双子と私の間に割り込んで。


ちゃんのパートナーは俺だよ。」


私の手のひらを柔らかくつかんで双子に見せつけるようにつきだした。





※※※
余談としては双子がのところへいく邪魔をしてたのは睦月と教授。



















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