ドリーム小説
魔法105
ざわり
空気が揺れる。
ハーマイオニーの桃色のドレスが階段を下りていくのを見送った。
今日の彼女はいつも以上に美しく、はなやかだ。
さすがに彼女の次に降りていける度胸はない。
自分の体を見下ろす。
深い緑。
あの人の寮の色。
選ぶのを手伝ってくれたのは、グリフィンドール副寮監のルーピン。
見事に姿を現さない彼は、どうやら校長の雑用をたくさん押しつけられているようで。
この間久しぶりにあったときは遠い目をしていた。
選択を誤ったかもしれない、とも呟いていた。
階下で広がるざわめきに意識が戻る。
ざわめきが静まるまで少しまとう。
そう思っていたのに。
「ちゃん、おいで。」
ひょっこりと、階下から睦月君が現れる。
有無を言わせず手を取られて立たされて。
彼の視線が私を上から下までたどる。
そして満足そうな笑みを浮かべて彼は言った。
「すごく綺麗だよ、ちゃん」
自然にエスコートを始める睦月君。
それに促されるようにゆっくりと足を進めていけば、階段下に集まる生徒が見えて。
そして彼らの視線が一斉にこちらを向く。
ひゅ、と空気が漏れた。
ぶるり、震えるからだ。
『
ちゃん、落ち着いて。』
耳元、日本語のそれに、少しだけ息が整う。
『大丈夫、今日のちゃんは綺麗だよ。』
『・・・いつもは綺麗じゃないってこと?』
『いやいや、そんなまさか!』
睦月君の言葉に微かに緊張がほぐれる。
『ほら、前をしっかりと見て。』
ぐ、っと促されるままにまっすぐに視線を向ける。
と、視線の先には双子の姿。
一度、二度瞳を瞬かせて、彼らはこちらに歩いてきた。
「よくにあっているよ、。」
困ったようにフレッドが笑う。
「僕らがエスコートしたかったな。」
小さな声でジョージが告げる。
そんなことを言われてうれしくないはずがなくて。
「ありがとう、二人もすごくすてきです。」
そう笑って見せた。
その向こう、緊張したハリーが、私に笑いかけてくれて。
セドリックが、口パクで似合っているよと言葉をくれた。
目的の人物はまだいないけれど、それでも、彼らに勇気をもらったから。
一歩、睦月君と共に足を踏み出した。
さあ、決戦の夜は来た。
どんな結果が待っていようとも。
back/
next
戻る