ドリーム小説



 魔法11


「きょーじゅ、ひと、たくさん、です。」


今日から新学期。
今までまったく気配のこの場所にたくさんの気配がある。
それは、再び1年が始まるということである。



、いいか。明日から新学期である。校長たちと話した結果、お前のことは秘密にしておくことになった。
この学校には今までと比べ物にならない人数が来る。
今までのように校内をうろうろと徘徊するのは禁止だ。もう一つ。校内で極力生徒に会うな。
お前のことが知れたら、いろいろとややこしい。
・・・ここから出るなといいたいが、お前のことだいつの間にかいなくなったりするのだろう。
昼はここからでるな。かわりに夜、消灯時間後は何をしてもいい。』

英語ではなく日本語で告げたそれらに不機嫌そうな顔をしていた
今、この人数を見てからは納得できたのであろう。
先ほどの一言を漏らしたきり何も言わない。
驚きであろう感情を顔にありありと浮かべて、は窓の外を見ていた。

「・・・もういいだろう。」
「・・・えと・・・はい、です。」

いまだにほとんどしゃべることのできないは、簡単な質問に間を空けて答えた。

ここは、我輩の地下室ではない。
不機嫌そうなを、納得させるためここを一望できる場所へと連れて行ったのだ。
自室へと戻る道のり。
後ろからはせわしない足音。
コンパスの違いであろうそれを気にかけてやるほど我輩は優しくなどない。


おとなしくしていろと言い残し、大広間へと向かう。
今年は忌々しいポッターが入る。
そのことを思い出し重い溜息をついた。

にぎやかなのは好まない。
つまりこのような雰囲気は苦手どころではなく、嫌いだ。
と二人で食事を取っていたことが遠い出来事のようだ。

ポッターはあの父と同じようにグリフィンドールになった。




デザートが消える。
今頃はあの奇妙な形で食事の終わりを告げているのだろう。
校長が立ち上がり、毎年の諸注意をし、最後に歌へと変わる。
耳障りな不協和音に、舌打ちをしたい気持ちを堪えその場を持ちこたえた。

校長が生徒を追い出しにかかる。
我輩もさっさと自室に戻る。


「・・・何をしているんだ、こいつは・・・。」
自室の扉を開けまず目に飛び込んできたのはソファアに横たわり眠る少女。
脱力しそうになる体を叱咤し、ソファアに近づく。
と、は額に酷い汗を浮かべうなる。

少しの驚きをもちながらに手を伸ばした。

と、


『うわあああああああああぁあぁあぁぁっ』

少女の口からこぼれ出た言葉は絶叫。
まるで体を引きちぎるかのような叫び。
思わずその腕を取り叫んだ。


!?!!おきろ!!!」

掴んだ腕からまるで逃れようとするかのように、は身をよじった。

『いやだいやだいやだいやだいやだぁぁぁぁぁぁぁ』

小さく舌打ちをもらすと、暴れる体を引き寄せ腕の中に閉じ込めた。

    ふわり

かすかに冷えた体はそれでもなお温もりを持ち。


『おちつけ、。』

動きの止まった彼女にそっと囁く。

体の力が抜けた。
抱きしめたままはもたれかかってくる。

『・・・こわいゆめ。だれもいない。真っ暗な闇。誰かが私を捕まえようとしてる・・・。』

何も言わなくとも話したそれは、最近自分も見たことのあるもの。

『・・・。』

答えられないままの話を聞く。

眠りが再び訪れたのか。

そのまま我輩の腕の中でゆっくりと目を閉じた。






    微かに聞こえる寝息は信頼の証か。


   校長に話さなければならんと言うのに・・・動けん・・・。











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