ドリーム小説
魔法123
まだ、は、瞳を開かない。
前みたいにスリザリンの制服を照れたように身にまとうことも。
甘いお菓子に頬をゆるめることも
目の前の魔法に瞳をきらめかせることも
グリフィンドールと仲を取り持とうとすることも
突然お姉さんぶることも
ムカつくことも、うれしいことも、全部全部、
が目覚めてくれなきゃ感じられないのに。
「僕と一緒に考えてくれるって、そういったくせに。」
小さいころから植え付けられた感情は、簡単に変えられるものじゃなく。
それでも、と接することでそれはやわらかく溶けていって。
一年間、ずっと、悩んだ。
ずっと、に聞いてほしかった。
でも、それは叶わなくって。
グリフィンドールの三人と接するたびに。
純潔である、それは、僕の誇りで。
純潔である、それは、僕の足枷で。
許されないと、知っている。
許されないと、わかっている。
それでも、それでも望んでしまった自分が、いた。
あの柔らかな輪に、手を伸ばしたくなる僕が。
こんな僕にも手を伸ばしてくれたお前がいたから。
「・・・マルフォイ?」
の部屋にいたことを、そういえば、と思い出す。
いすに座ってぼおっとしていたから彼女の気配に気が付けなくて。
耳に馴染んだ響きではない、声。
それにゆっくりとそちらを見れば、そこにはグリフィンドールのグレンジャー
「・・・グレンジャーか」
いつもであればいろいろと言葉を発するところだが、考えていたことが、ことだけに、どことなく後ろめたくて。
グレンジャー自体も何を言うことなく、ゆっくりと部屋に入ってくる。
何の気なしに行動を見つめる。
彼女の腕には色とりどりの花が。
そういえば、この部屋の彼女の枕元にはいつも花が飾られていたな、と思う。
「おまえだったのか。」
ぽつり、つぶやいた言葉は、静かな部屋に響いて。
言葉に反応したようにグレンジャーは振り向いて、笑った。
「の好きな花なのよ。」
返された言葉になんとなく合図地を打ち、花瓶に花を生けてこちらにくるグレンジャーを見る。
「が___」
世間話をするように始まった会話に、しんぞうが、どきりと音をたてる。
今も眠る少女が、ふわり、笑うのが脳裏に浮かぶ
ケガレタチ
そう放った言葉は、未だに彼女の心に突き刺さっている、はずなのに。
そんなこと、知らないように、彼女は言葉を紡ぐ。
「が目を覚ましたら、」
柔らかな髪を、そっと耳にかきあげて。
彼女は笑う。
「心配ばっかりかけて、って怒るつもりなの」
彼女の視線は柔らかく、暖かく。
を見つめる。
いつ目覚めるかな、という話でも
どうやったら目を覚ますのかな、という話でもない。
じわり
心の中、せき止めていた、想いが、あふれるのを感じた。
僕の大事な友人を、同じように心配する彼女。
過去、向けたひどい言葉を覚えているだろうに。
僕に向けられる柔らかな笑顔や僕にかけられた穏やかな声が、それらすべてをなかったかのように。
僕は、僕のままで彼女と接したいと。
そう思えたんだ。
「___ごめん」
小さな声で呟いた言葉。
「あら、何のことかわからないわ。」
彼女はあっさりとそう返した。
それでもその言葉はどこか暖かくって。
こちらを見ないままの彼女だったけれど、かすかに笑っているのがわかって。
小さく笑いが漏れた。
「じゃあ、僕は、このバカって、言ってやる」
伝えたいことがあるから、さっさと起きてほしい。
僕の言葉にグレンジャーはさらにほほえんだ。
※※※
友達になりたい。
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