ドリーム小説










魔法124
























僕らの大事なあの子は、今もまだ夢の中。




医務室から元の部屋に戻された彼女に、お見舞いは多くない。

それこそ、僕たち双子にハーマイオニー。

マルフォイとセドリック、睦月。

きっと、おそらくそれくらい。

薬学教授の部屋は、グリフィンドールにとって、というか、スリザリン寮以外はは鬼門だからよけいだろう。


まあ、以前教授の導きで僕らはこの場所にきているため、何の躊躇もなくこの部屋にきたが。




そっとのぞき込んださき。

静かに上下する胸。


黒く艶やかな黒髪

歳の割に小さな体

庇護欲をそそられる口調


そのどれもが鳴りを潜めたまま、


瞳は僕らを映さない


僕らの名前は呼ばれない


それはひどく味気なくて、寂しいけれど、


でも、今年に限っては純粋な彼女が眠り続けてくれてよかった、と。

そう思わずには居られない。


刻々と、負へと傾いていくこの学校で。

この少女が起きていれば、きっとその胸を痛めた。


それどころか、今の惨状に巻き込まれたかもしれない。


だからこそ、よかったんだ、と言い聞かせる。


目覚めないかも、しれないなんて、そんな可能性は考えないで。




じい、っと自分の記憶に刻みつけるように彼女を見つめる。





「さて、やるかジョージ」

「任せろ、フレッド」



ゆるり、その眠り姫の頬を一度撫でて。

ゆるり、その眠り姫の髪に触れて。


「行ってくるね、

この現状を打破するために。

「もう少し、眠ってな。」

君にとって少しでも優しい世界がくるまでは。




「「またね」」


大好きなあの子が、僕たちを必要とするその時まで。

僕らはその場所を後にする。










眠り姫が目覚める前のお話
























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