ドリーム小説










魔法128
















「セブルスさん、」


痛い。

それこそ、骨がきしむような強さ。

でも、それから逃げ出したいなどと思うはずがなく。

彼よりもずっとずっと弱いけれど抱きしめる手に力を込める。

そうすればさらに強さはますわけで。


ごめんなさい、とても心配をかけたようで。

ありがとう、私をずっと見ていくてくれたでしょう。

いいたい言葉はたくさんあるのだけれど、いまはそのどれもが不釣り合いに感じて。


「・・・セブルス教授」


びくり、彼の体がふるえて、そっと腕が弱まる

彼の腕が手が、うろうろと、私の体をさまよって。

まるで、怪我がないかと確かめるように動いた。


「・・・・・・スネイプ教授」


ゆっくりと、教授が私と距離をとる。

そうはいっても、まだ体に腕は回されたままだけれど。

顔が見えるようになったから、ほっとして、その顔に手を伸ばす。

彼の黒髪が陰になって、下からのぞき込んでいるのにその表情がわからない。

それでも、その顔を、輪郭をなぞるように手で、触れて。

前髪をかきあげてのぞき込んだその瞳には、確かに安堵の色。


「この馬鹿者・・・。」

中腰で、上から私を抱きしめていた教授。

ゆっくりと地面に膝をついて。

ぽてり、と頭を肩に落とされる。

深い、深いため息。

同時に漏らされる言葉。


その言葉が意味するところが簡単に想像できて。

ぽんぽん、と子供にするみたいになでる。

「そばにいると言ったそばから離れるとは。おまえの頭は鳥以下ではないのかね。」


ダンスパーティで、私が告げた言葉。

それをこの人は、ちゃんと覚えていてくれた。

「自分の言った言葉には、責任を持て。」



ごめんなさい、ごめんなさい。

待たせてしまった、ごめんなさい。



そんな思いを込めて、ぎゅうぎゅうとその頭を抱きしめる。

そうすれば、もっと、と請うように頭を引き寄せられて。

教授、教授、セブルス教授。

言いたいことがたくさんある中で、それでも一番にでてくる言葉は__

「大好き」


告げた瞬間、教授の体はぴしりと固まり。

「っ、」

首もとに、ぬるり、温もり。

驚いて小さく声をあげるけれど、教授は何も答えてはこない。

続くその感覚に、ぞわりとする体。

思わず距離をとろうと腕を教授の肩に掛けて押し返そうとすれば、彼の角張った手のひらでそれを押さえられてしまって。


「っ、きょ、じゅ、」

ちくり、痛みが走る。

こわばる体を和らげるように、二度、三度、その箇所が再びなめられて。

「っ、わ」

ぐ、っと彼の方向に体が引き寄せられれば、ベッドから簡単に体は落ちて。

けれど、痛みなどなく、彼の膝の上に抱えられて。


ぎゅうぎゅうと、先ほどよりも手加減をした腕の強さ。

けれど、離す気はないというように、ゆるまりはしない。


「教授!」


首もとにあった顔は、ゆっくりと上に。

顎を、輪郭をなぞるように、上へと進む。

「っひぁ、」

ちゅう、と、耳元で音。

湿った感覚が、耳元に広がる。

ぞくり、体がふるえる。





耳元、すぐそば、甘い甘い声色で。

響くベルベットボイスそれにあらがえるはずなんてなくて。

「私を呼べ。」

頭の中直接響くみたいに。

そそぎ込まれる吐息。

かすかに息を吐いて、教授を呼ぶ。

「きょ、じゅ、っ」

が、違う、とばかりに耳元を再度なめられて。


「っせぶ、るす、」


高揚する体とぼんやりする意識の中、彼の、名前を叫ぶ。


「いい子だ、

彼の名前を呼んだ私の唇は、それ以上の言葉を発することを許されなかった。



まるでそれは、ご褒美、とばかりに




柔らかく、ふれるだけだったけれど。


















back/ next
戻る