ドリーム小説










魔法132


















_リリー_


百合の花

それは、教授の心に宿る、焦がれる相手

いつだったか、教授が寝言で漏らした名前。



教授は、たくさんの話をしてくれた。

自分の生い立ちと境遇。

リリーさんとの出会い。

その出会いは教授を救って。

彼女と寮がわかれたこと

学校での話。

ハリーのお父さん。

ルーピン。

あのネズミ。

そして黒い人。

彼らに様々な攻撃を受けていたと言うところはたぶん、だいぶんはしょられて話されたと思う。

ちなみに元々好きではなかった黒い人への印象は最悪なものになった。

彼女の気を引きたいがために手を出した闇の魔術。

それは想像以上に教授の興味を引いて。



そして、リリーさんに向けてしまった言葉。



言われてみれば、思う。

教授はこの言葉にひどく敏感だったな、と。



そこから外れていく道

違えていく、未来。



手にした予言が、彼女に関わったものかもしれないと。

おそれて、校長のもとに駆け込んで。

懇願して。


そして、約束されたであろう彼女の命は、あっさりと、闇に消えて。

帝王は、ハリーに打ち負かされて。

校長は言った。


残されたハリーを、守ることは、彼女を守ることだと。



そして、教授に課せられたのは、帝王の動向を探ること。



それも、教授はスパイをしていると、どちらにも思わせて、だ。



命じたのは校長。

受け入れたのは教授。


それでも、校長に対して、かすかないらだちが消えない。



優しくて、強いこの人に課した使命はあまりにも重くて。





おさない教授に手を差し出したリリーさん。

強くて、きれいで、気高くて、とても優しい人。




そこにいたのが私ならよかった。

私がそこにいたら、教授を一人にしないように、ずっとずっとそばにいたのに。

そう思わずには居られないけれど。

それでも、


「リリーさんに、ありがとう、って伝えたい。」



だって、教授が今ここにいるのは彼女のおかげで。

だって、教授の今がここにあるのは彼女のおかげで。


私の言葉に教授は息を止めて、そして泣きそうに、小さく笑った。


珍しいそんな表情に釘付けになる私を教授は引き寄せて、ぎゅう、と抱きしめて。





耳元、かすれた低い声。


心臓を揺らがす愛しい声。



「すまない」


発せられる謝罪の言葉。


うん、知ってるよ。

わかっているよ。


なだめるように背中をなでる。


「なにがあろうと、我輩が優先するのは彼女だ。」


うん、大丈夫。

だって、彼女は教授の世界そのものなんだもの

小さく痛んだ胸は、仕方がない。


「__だいじょうぶです。」


私の言葉に教授がなぜか、ため息をついた。

「よく聞け、。」

さっきよりも腕の力が強まる。


「彼女は、我輩が死ぬそのときまで、我輩の中にいる。」


だから、知ってるよ。

ぎゅう、とすがるように私も力を強めて。


「それでも___」


続いた言葉に、今度は私が息を止める番だった。



「今、我輩が愛しいと、そばにいてほしいと、そう思うのはおまえだ。」







あいのこくはく






「命はやれない。彼女のために私は消えるから。それでも今から死ぬまでの私の時間はおまえに、のために。」






※※※
ちなみに、今更ですが、夢主は校長に対して不信感でいっぱいです。
1年目、2年目は助けてくれた人の一人、ということで嫌いじゃなかった。
が、3年目くらいから、なんかこの人教授にいろいろ押しつけすぎじゃない?ってなり、教授の話を聞いた今、もう、信じられない、ってなってる。



















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