ドリーム小説
魔法133
「ドラコ。」
私の言葉にドラコは戸惑ったように目線をそらす。
けれど困っているのはこちらも同じだ。
だって、ドラコの後ろには笑いをこらえきれないで居るロンが。
にこにこと笑うハリーが。
まるで母のように見守るハーマイオニーがいるわけで。
お願いだから状況を教えてほしい。
私が持つ記憶の中では、彼らはあまり仲がいいとはいえなかった、そのはずなのに。
彼らが同じ部屋にいるだけで突っかかりあうような関係だったはずなのに。
「あー、。」
視線を逸らしたままドラコは私の名前を呼ぶ。
目があわないのが少しだけ不満で、その頬を両手でつかんでこちらを向かせる。
実力行使に驚いたようにドラコが目を見開いて。
相変わらずきれいな瞳に、ようやっと私も笑えて。
「・・・ありがとう、。」
突然の感謝の言葉。
無言で先を促せばドラコは小さく笑った。
「のおかげで、僕の世界は広がった。」
優しく手のひらを捕まれて、そっと手をはずされて。
「の言葉が、僕の背中を押してくれた。」
引き上げるように私をたたせて、方向を変えて。
「がいたから、僕は彼らの手を取ることを許されたような気がした。」
くるり、振り向いた先にはハリーたち。
ロンはやっぱり笑ったままでハーマイオニーにたたかれていたけれど。
「マルフォイは助けてくれたんだ。」
笑いをまだ引きずりながらもロンは告げる。
高等尋問官に捕まっていたときに、手の縄を切って、杖を返してくれたのだと。
ずっとずっと、自分のあり方に迷っていたドラコ。
貴族であり、親の言葉を聞き続けたその身には変化はどんなに恐ろしかっただろうか。
”友達になっちゃいけないんだ。”
一年前、確かに彼はそういっていた。
瞳に陰を宿らして。
おそれるように手を握りしめて。
それなのに、ドラコは、
そう思った瞬間、体は勝手に動いた。
手を伸ばしてドラコに飛びついて、指通りのよい髪をなで回した。
そんな私を落ちないように彼は支えてくれるわけで。
「なら、どんな僕でも受け入れてくれるって、そう思えたけれど。」
それは私に対しての絶対的な信頼。
ああ、一年で彼はこんなにも大きくなってしまった。
それが感慨深くて、うれしくて、でもどこか寂しくて。
「どうせ受け入れてもらうならば、素直に生きる僕がいいと思ってしまったんだ。」
それでも喜ばずに入られない。
「これまではなかったことにはならない。」
ロンが神妙な顔してつぶやく。
「これから先、何度も衝突することはあると思う」
ハリーが告げる。
「それでも、私はマルフォイを友達だと、そう呼びたいわ。」
ハーマイオニーが、そういって笑った。
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