ドリーム小説










魔法139





















シリウスは、よく私にかまおうとしてくれる。

でも私にとってこの人は教授をいじめるだけの人で。

私にとってこの人に対する認識は、教授に植え付けられたもので。

教授が私をここに送るのを渋った最大の理由。

だからこそ、なじめない。

にこにこと笑って私を呼ぶこの人に、素直に答えることができない。

差し出されたお菓子に解されたりは、しない。

目のまえで犬になったときは、思わずその体を撫で回したりしてしまったけれど、それでも、苦手な人に、代わりはなくて。

だというのに、今のこの状況はどういうことなのか。



久しぶりにみた教授。

いつも以上に疲れて見えるその表情。

私をみるその瞳はいつもよりも開かれて、驚きを露わにして。

ああ、珍しい表情だなあ、と現実逃避をする。

ゆるゆると、教授の視線が私からずれて、私に抱きつく黒い男へと向かう。

表情は次第に険しいものに、まき散らす空気は最悪なものへ。


まあなにが起こっているのかというと、なぜか、私は、シリウスに抱きつかれている。

ソファで寝ていた彼にちょっとした親切心で毛布を掛けた瞬間のできごとで。


私も今、現状を把握した。


「きょうじゅ、」

ぎゅう、と締め付けのました腕。

それが苦しくて、教授に助けを求めるように手を伸ばす。

けれど、その手は気がついたらシリウスに絡めとられて。

ぴしり、

空気が凍る。


「くる、し、」

小さく声を漏らせど、腕はゆるまず。


「せぶるすさん、たすけて、」


精一杯の声をあげて教授を呼べば、驚くほどの早さで私の体は教授の中へ移動した。


私を失ったシリウスは何かをうめいて、そしてゆっくりと起きあがって。

その喉元に、教授の杖が突きつけられた。

「・・・なんでおまえがここにいる、スネイプ。」

不機嫌を前面に押し出して、うなるシリウスに教授は杖を突き詰めたまま、さげすむような表情を浮かべて。

「黙れ。」

その声色からわかるのは、教授が今、非常に機嫌がよろしくないと言うこと。

シリウスから距離をとるように、教授の体に押しつけられて。

香る匂いに、温もりに、ほっと息を吐く。

「ああ”?寝起きの相手に杖を突きつけるとか、何様だおまえ。」

機嫌が悪いのはシリウスも同じだけれど、先ほどしでかされたことを思えば、声をかける気も起こらなくて。

頭の上、ばちばちと放たれる火花。


でも、それよりもなによりも



「教授」

小さな声でつぶやいたけれど、教授はこちらに意識を向けてくれて。

「久しぶり、です。」



ふれたあなたがいとおしい



私に答えるように、教授は頭を撫でてくれた。







































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