ドリーム小説
魔法140
「うそつき」
私がつぶやいた言葉は、ゆっくりと地面に落ちていった。
誰に拾われることもなく、伝えたい相手に届くこともなく。
ただ、やるせなさと切なさと、どうしようもない虚無感にさいなまれて。
私は再度その言葉をはき捨てる。
迎えに行くと、そう言ってくれたから、私はあなたがいないところでも頑張れたのに。
待っていろと、そう言ってくれたから、あなたを待つためだけに私はここにいたのに。
新学期がやってきて、時折訪れていたハリーたちは学校へと戻った。
それは、学校に居候の身である私も同じはずなのに。
教授は、姿を現さなかった。
忙しいのだろう。
そう思ったから、待った。
一週間。
でも、音沙汰はなにもなくて。
「うそつき」
もう一度はいた言葉。
いけないのならその旨を教えてほしかった。
これないならその理由を話してほしかった。
たった一言でいい、ほしかった。
なにも知らせることなく、おいていかれるのだけは、嫌だったのに。
あなたになにがあったかも知らないまま、ここにいるのは嫌なのに。
「耐えきれなくなったら、言え。」
いつの間にか現れたシリウスが私の頭をなでた。
そして小さく言葉をくれて。
「俺があいつのところに送ってやるよ。」
その撫で方は、知っているものとは全然違った。
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