ドリーム小説
魔法142
ああ、また皆に迷惑をかけちゃうな。
透けている手とか、ぼんやりする景色とか。
眠っていたあのときと同じ世界で、
以前よりもはっきりとする意識の中で、
漠然と思ったのはそんなこと。
ドラコや双子やハリーたち。
セドに睦月君にシリウスたち。
脳裏に浮かんではぼやけていく彼らの姿。
私は一つ、息を吐き出して。
それから、それから___教授は、少しでも心配してくれるだろうか。
待っていたのに、来てくれなかったあのひどい人は。
愛しくて、愛しくて、たまらないあの人は___。
今だけは、彼を想いたくはなくて、脳裏の彼の姿をかき消した。
と、大きな、一対の瞳が私を見つめていることに、気がつく。
一度、二度、瞬いた瞳。
きらきらと星の光をちりばめたように、きれいに瞬くその瞳は、私を見て、ふわりとほほえんだ。
「お姉さんは、だあれ?」
幼い、少し舌足らずな声。
好奇心いっぱいのその姿に、よどむ心がじわり、溶かされた。
「私は、、です。」
男の子は私の名前をゆっくりと舌の上で転がして。
そしてにぱり、とてもきれいに笑った。
「僕は、レギュラス、だよ」
どこかで聞いたその名前
でも、まだここがどこかは、わからなくって
レギュラス
そう言った幼い子供は、迷子だと伝えた私を笑顔で匿ってくれると言った。
とは言っても、なぜか私の姿はほかの誰にも見えなくて、声だってレギュラス以外には届かなくって。
匿う、というよりも、話し相手になってもらっている。
彼との会話でわかったのは、どうやらここは過去の世界だということ。
新聞などの日付はもちろん、手紙だって、私が知っている世界の過去を示している。
そして何よりも、彼の兄は___
「あのね、、シリウス兄様はね!」
私をあの場所においてくれた、そして教授にちょっかいをかけるのが大好きな、シリウス・ブラックで。
そう、彼はその弟のレギュラス・ブラック。
クリーチャーがご主人様と呼んでいた相手。
そして、未来の世界では出会えない人。
彼は、一つ年の違う兄を、家族の誰よりも好いていて、いつだって彼の後ろを追いかけ回していた。
名前を呼んで、いろんなことを真似したがって。
そんなレギュラスを兄であるシリウスも気に入っているようで、なんだかんだで一緒にいることを許していた。
柔らかな暖かな家庭だった。
このときは、まだ。
※※※
れぎゅらす君のターン!!
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