ドリーム小説










魔法144




















ゆるりゆるり、世界が巡る。

過去の記憶をたどりながら


描ききられたキャンバスに、無色透明の色が走る




「スリザリン!」

三回目の目覚めはホグワーツの大広間。

ちょうど呼ばれたばかりの寮の名前。

ゆっくりとはずされる帽子。

その下から現れた顔は、ほう、と一つ息を吐いて、当然、とばかりに立ち上がる。

私はその周りをぷかぷかと浮かぶわけで。



周りに聞こえないように、と小さな小さな声で。

久しぶりに会ったレギュラスは、それでもちゃんと私を呼んでくれて。

「おめでとう、レギュラス君」

彼に答えるように告げれば、彼の頬はすこしだけあがる。

「僕は、スリザリンだ」

噛みしめるようにつぶやかれたそれ。

うれしいのか、悲しいのか、ごちゃまぜになった感情は、私には推し量りきれない。

そっと、頭をかすめるように撫でみる。

感触はないけれど、それでもレギュラスは甘えるように頭を寄せた。

ふ、と獅子寮から感じた視線。

ちらりとみれば、まっすぐにこちらを向くブラック家長男の瞳。

深い深い、その瞳に飲まれそうになって、あわててレギュラスをみる。

「レギュラス君、シリウスがみてるよ。」

どうした、とこちらをみたレギュラスにごまかすように告げれば、ぴしり、彼をまとう空気が凍る。

みるか、みまいか。

きっといま、彼の中ではすごい勢いで  葛藤  がなされているのだろう。

ぎゅう、と握りしめられたままの手をつつみこめば、少しだけその力は弱まって。

「兄さんは、みない」

ぼとり、落とされた言葉。

みない、ではなく、みれない、なのだと私にはわかった。

家を裏切ったシリウスを、レギュラスは許せないと言うけれど。


まだ彼はシリウスのことを大好きで。


大好きだからこそ、その愛は憎しみへと姿を変えそうで。


私はこの子の愛を守ることができるのだろうか。





















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