ドリーム小説
魔法145
まわるまわる
未来へ向けて。
決して道を違えることはなく、刻まれたとおりに世界は回る
「あ!」
大声を出した私に、レギュラスが驚いたように視線を向ける。
でもそんなレギュラスに答えることなんかできない。
私はまっすぐに、彼をみることしか、できなくて。
緑のネクタイ
真っ黒なローブ
それは、ほかのスリザリン生と代わりはなく。
悪い顔色に、黒い髪。
でも、私が見間違うことなんか、ない。
だって、その瞳に、私が写ることをいつだって願っているのだから。
「なんだ、レギュラス」
魔法薬学の本を抱えたその人は、目の前に立ち止まったレギュラスをみて、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「いえ、何でもありません。セブルス先輩」
少しだけ、まだ高い声。
でも変わらない話し方。
私が、だいすきな、ひと
私が知っている姿よりもずっと幼くて、背も小さくて。
じわり、あふれる喜び。
絶対に、会えないであろう人に、会えた。
教授ではない、セブルス。
それはとても新鮮で。
かわいくて。
ああ、でもやっぱり、どんな姿でも愛しくて。
私が見えないって、わかっているけれど、レギュラスの前に割り込んで、手を伸ばした。
触れられない手。
それでも、この人は確かにここに存在しているわけで。
そう、生きて、私の目の前に、いる。
「っ、」
会いたい
会いたい
あいたい
きもちが、あふれそうになる。
迎えに来てくれなかったこと、なんか、もうどうでもいい。
おいていってしまう人ならば、私が追いかければいいだけで。
私をみて、
私を呼んで
私に、あいをちょうだい
「用がないならいくぞ。」
ひらり、踵を返して廊下を進んでいくその背中を見送る以外、私にできることはない。
「セブルス先輩を知ってるの?」
レギュラスの言葉にうなずくことも、回る世界の中では、なにもできなかった。
また、ふわり、意識が揺らぐ
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