ドリーム小説










魔法146



















そして時は訪れる

偽りなき、その時が

彼が罪を背負った瞬間が。







偶然だった。

その場所に居合わせたのは。



次に目覚めたとき、レギュラスは以前よりもずっと成長していた。

背も伸びて、声も低く。

大人びていた彼は、ようやっと年相応に近づいたように、思う。

それでも、私を受け入れてくれる優しさは健在で。

柔らかな笑顔で私にお帰りと言ってくれた。


図書室で勉強をする彼のじゃまをしないように、とふよふよとさまよう城内。



中庭に面した窓から何の気無しに見下ろした先。


そこには、愛しい人がいて。

一人ではなく、彼を囲むのは獅子寮の少年たち。


脳裏に浮かんだ、彼の話した過去の話。



彼の、罪の言葉___


窓から飛び出して、彼の元にむかう。

思った通りに素早く動いてくれない体がもどかしい。

向けられる魔法を紙一重で交わす彼。

けれど、多勢に無勢。

私がたどり着くよりも先に、彼は逆さまにつりあげられて、身動きのとれないまま、笑われて。



じわり、沸き上がる怒り。


セブルスさんと少年たちの前にたつ。

獅子寮の少年は、ハリーにそっくりな顔立ちで。

でも、その瞳の色だけが違った。

その横で楽しげに笑うのは、シリウス。


その頬をひっぱたいてやりたい。


何もできない体で、腕で、セブルスさんをおろそうとするけれど、それはやっぱり不可能で。


シリウスを、ポッターを、何度か攻撃しようとしたけれど。


無意味で。


そんななか、現れた少女。

赤髪の、とてもきれいな女の子。


助けにはいった彼女は、簡単にセブルスさんを地面へ戻して。


助けてもらったセブルスさんは、ぎゅう、と唇を噛みしめた。



「だめ、セブルスさん。」


声をあげる。

私の声は、誰の耳にも届かない。


「だめだよ、セブルスさん!」


必死で彼の口に手を当てる。


「言わないで、お願い!」


お願い、お願い。


その言葉が口からでないように。


「セブルス!!」


傷ついてほしくなんか、ないのに。





「     」




その言葉はあっさりと、世界に放たれた。





その言葉を受けたのは、赤い髪の少女。

セブルスさんが、誰よりも大事に想う、人。


放ったはずのセブルスさんが、誰よりも痛そうな顔をして。



ああ、どうしよう、

今にも泣きそうな彼に、ふれたいのに。

彼を、抱きしめたいのに



なにもできない



走り去っていく少女。

追いかけるめがね。

彼に再度向けられた魔法の数々。


どれもこれも、ひどく遠く、遠くなっていく。


いたい、しんぞうがいたい

そばにいるのに、ふれられないことが

そばにあるのに、なにもできないことが




つらい、つらい



わたしには、かれをたすけることなんか、できない
























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