ドリーム小説
魔法147
邂逅は、奇跡
その存在は、希望
勉強が一段落して、一息つこうと顔を上げる。
そうすれば、そこに彼女の姿はなく。
どうせ彼女のことだ。
ふわふわと、僕のじゃまをしないように、とうろうろとしているのだろう。
さて、では、探しに行こうか
ゆっくりと席を立ち上がった。
彼女、は僕の前に突然現れた。
ふわふわと浮かぶ変な女。
第一印象はそんなこと。
でも、不安そうな表情を笑顔にしたくて。
自分から名前を尋ねた。
小さくほほえまれた表情が本当にきれいだと、そう思ったのを覚えている。
時折現れて、数日共に過ごして、そして気がついたらいなくなる。
それが彼女だった。
はじめに消えたときは悲しくて、少しだけ泣いた。
誰にもいえないけれど、誰も知らないけれど、大事な友達だと感じていたから。
もう会えないのだろう。
そう思っていたのは、一年後、大きな転機によって覆されて。
兄がスリザリンではなく、グリフィンドールに組分けされた。
それは、衝撃的な出来事だった。
兄は僕にとっての目標で、あこがれで、理想で。
兄が、僕から離れていくのだと、思った。
そして何より、突然、僕に両親の期待が降りかかって。
おもくて、つらくて、さみしくて。
そんなときに、はまた現れた。
そして、僕の名前を呼んでくれた。
ふれられないはずなのに、彼女は、とても暖かかった。
つらいとき、気がついたらそばにいてくれた存在。
僕の心の安寧をくれた、優しい人
いなくなると不安になるし、そばにあると安心できる。
秘密の友人。
だからこそ、今度は僕が、守ってあげなきゃ。
慰めてあげなきゃ。
たどり着いた中庭。
そこには、誰にも見つけてもらえず、ぼろぼろときれいな瞳から涙をおとしつづける彼女がいて。
ゆっくりと、彼女の前に座り込む。
そして、いつも彼女がやってくれるように、そっとその涙にふれる。
どうしたの、でも
なにがあったの、でも
なくて。
ただ、その涙を止めなければ、と思って。
すっぽりと、体全体で、その感じない体温を包み込んだ。
はじめ会ったときよりもずっと小さく感じるからだ。
それは、僕だけが成長しているから。
不思議な彼女の存在が、なんなのか。
そういうことはどうでもよくて。
ただ、僕を呼んでくれるその心地の良い声をなくしたくはなくて。
ふれられない、もどかしさ。
それはきっと彼女も一緒。
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