ドリーム小説










魔法156























水と一緒に放り出された先。

そこは、ずっとずっと望んでいた人の場所。


でも、再会を喜び合う余裕はなく。


腕の中、冷たい彼を抱きしめて叫んだ。


「レギュラス君を助けて!!」









レギュラスと共に医務室へつれて行かれて。

マダムの治療を受ける彼を見つめ続けて。

けれど、それを続けることは許されず。



「いったいどういうことだ、


困惑を多分に含んだ声。

久しぶりに聞くその音に、愛しさはあふれるけれど。

かといって、素直にその言葉に応えられるだけの度量は、私にはない。


「彼が目を覚ましたら、はなします。」

言葉少なに答えて、目を伏せる。

愛しい人を見ないように。


どうしようもないやるせなさを隠すように。


彼を、レギュラスをつれてきたことは後悔していない。

結局私が頼れるのは目の前のこの人だけだという事実が、嫌で。





詰め寄る教授。

呼ばれる名前に、感情が、振り切れそうになる。


「教授」


しずかな、思っていたよりもずっと低い声がでた。

私の声色に、教授も何かを感じ取ったみたいで、黙る。


「私に、何か言うことは?」


会えなかったあのときは、追いかければいいと思ったけれど。

それでも、彼を前にしたら感情が高ぶって。

ゆっくりと、逸らしていた視線を教授に向けて真正面から見つめる。

たじろぐ教授は私から目をそらして。

後ろめたく思っているのだろう事実。

「私はずっと待っていたんです。」

重ねる言葉。

でも、彼の心には響かない。

「・・・今はそんな話をしている___」



あっさりと発せられた否定の言葉に、


感情が、ふりきれた



ばしん。

思った以上に大きな音を立てた頬。

手のひらが熱くてジンジンする。


「ど、して?」


どうして、私をおいていくの

迎えにきてくれないの

私はもうどうでもいいの


聞きたいことはいっぱいあるのに。


「どして、教授はっ!!


なのになのになのに!!


「私の言葉を、ちゃんと聞いてくれないの?!」


あふれる感情はとどまることなく


「私がいつ、あなたから離れたいと言った?!」

ありったけの想いが口からこぼれて


「危険な目に遭いたくないと言った?!」


愛しいのにつらくてにくくて


「私の幸せをあなたが勝手に決めないで!」


わかってる、全部私を想ってのことだって。

それでも、それでも。


「私は教授がいない場所で生きるのは、つらいのに!」

聞いて、聞いて、受け止めて!

「なんで教授は平気なの!?」


あなたのそばには私はいらないの?


「あなたのそばが私の幸せだと、何度言えば納得してくれるの?!」



だいすきだいすき、だいすきよ、きょうじゅ



「どこにいても、危ないならば、私はあなたのそばがいい!!」






私のすべてを受け止めるような、温もりにつつまれた。






















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