ドリーム小説










魔法157













「すまない」

たった一言。

耳元、かすれた声。

でもその一言が彼の感情すべてを伝えてくれている気がして。


それだけで許してしまう私は本当にこの人のことを愛しているのだな、とぼんやりと想った。



ぎゅうぎゅうと、抱きしめる教授の体。

大好きな愛しい人。

会えなかった時間を埋めるように。

会いたかった想いを伝えるように。

ただすがりつく。

離れようとしないのは、私で。

でも同時に教授もそれを受け入れてくれるわけで。


ぽつり、ぽつり、はなすのはレギュラスのこと。

出会った経緯と、過ごした時間。

感じたことと、私が願ったこと

それを教授は口を挟むことなく聞いてくれて。

話終えた私の頭をよくやった、とほめるようになでてくれた。

「教授もみたよ、」

幼いときの。

小さなあなたを。

そう言えば、教授は困ったような表情。

でも、とがめる様子もなく、ただ私の頭をなでる。

「教授、私は嬉しい。」

決して出会えなかったはずのあなたに。

幼き頃のあなたを視ることができたことが。

また一つあなたを知れて、嬉しい。


暖かい温もりに包まれているせいだろう。

じわじわと迫ってくる眠気をゆっくりと受け入れれば、受け答えはひどく子供じみたものになって。


原因とか、そういうちゃんとしたものはわからないけれど、それでもあのロケットがすべての始まりだったのだろう。

おそるおそる近づいてきたクリーチャーにそっと手を伸ばして声をかけてみた。

「ありがとう、あなたのおかげで、レギュラス君に会えて、教授の過去をこの目でみれた」


ぱちくりお大きな瞳を瞬かせる僕妖精をそのままに、ゆっくりと睡魔に落ちていった。



だって、この腕の中は



私が一番安心できる場所





























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