ドリーム小説
魔法158
明るさを感じて、ゆっくりと瞳をあける。
気だるい体を起こせば、そこは医務室で。
周りに誰もいない、そんな状態。
いったいどうなったんだっけ、そう思いながらぼおっとしていれば、閉じられていたカーテンが静かに開けられて。
音を立てないように細心の注意を払って入ってきたその人物が、茶色のふわふわの髪を揺らして、ゆっくりと、私を、みた。
かち合った視線。
一度、二度、互いに繰り返した瞬き。
そのきれいなまん丸な瞳が私を写して大きく開くのと、そんな彼女の驚きに疑問を浮かべて首を傾けるのは、ほぼ同時だった。
「!!」
それは、叫び声にも近い音。
視界が閉ざされて、重みを感じて、すぐに体に温もりが広がった。
「っ、」
今度は耳元で、心から安心した、そう伝えるような声で。
「・・・ハーマイオニー」
名前を呼べば、ぎゅう、とさらに力を入れて抱きしめられる。
暖かくて、柔らかい。
甘い甘い、優しいにおい。
「心配したのよ、ばか。」
怒ったような口調。
でもとても優しい音。
「ハーマイオニー?」
カーテンの外、彼女についてきたのであろう男の子の声。
声と同時、開かれたそこ。
彼女の肩越しにそちらを視やれば、やっぱり、ハリーとロン。
そばかすだらけの顔が、私を見て驚きを表して。
めがねの奥の瞳が、とても嬉しそうに笑ってくれた。
「お帰り、」
ハリーが柔らかくほほえんでそう言ってくれたから。
「ただいま、ハリー」
私も笑ってそう返すことができた。
ゆっくりとハーマイオニーが私から離れて、ふうわり、とてもきれいにわらって、入り口を指さす。
視線を向ければ、今にも泣き出しそうな少年の姿。
「!!」
衝撃、後温もり。
本当にこれくらいの男の子は少しみない間にすぐに大きくなる。
シルバーブロンドの髪に手を伸ばしてよしよしとなでてやればこわばっていた体は少しだけゆるむ。
「ただいま、ドラコ」
「・・・お帰り、」
ゆっくりと距離をとれば、泣きそうに笑うドラコの表情。
どことなく大人びた顔なのに、少しやつれて見えて。
「ちゃんと休んでる?ご飯食べてる?」
ぺたぺたと顔に、体に触れて、彼の状態をチェックする。
そうすれば彼はくすぐったそうに笑いを漏らして。
「休めてない、食べれてない。」
まさかの言葉を吐き出した。
絶句した私に、今度こそ優しく笑って、ドラコは言った。
「だから、。僕を休めさせて」
姉に甘える弟のように、ドラコはそう言うものだから、かわいくないわけがなく。
「もちろん、」
力の限り、その大きな弟を抱きしめた。
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