ドリーム小説
魔法16
『みせす、どした?』
真夜中。
恒例となった校内探索。
最近はもっぱら図書館に行くか、双子と話をするかのどちらかになっていた。
双子は夜歩き回っていたら、どこからともなく現れ、私に話しかけてくるのだ。
(ただし、みせすがいないときだけだ。)
今日はその様子も無く、管理人さんから借りた猫、みせす・のりすの案内で図書館に向かっていた。
残念なことに私はこの学校の道を覚えられていない。
その上もともと持っていた方向音痴も手伝って、基本目的地にたどり着くことは無い。
一度、あまりにも帰ってくるのが遅かったのできょーじゅが探しに出てくれたときがあった。
そのときにさ迷い歩いていた私を見つけたとききょーじゅは私が一人で出歩くことを禁止したのだ。
それ以後は見回りの先生やみせす、絵画たちの案内で歩き回るようになった。
おばけも時々ついてくれるが苦手なものは苦手なのだ。
多いのは、絵画たちだったりするのだが。
ちなみに本当に迷ったときは、誰かがきょーじゅたちを呼びに言ってくれるようになっている。
その図書館に向かう廊下で、みせすがいきなり立ち止まった。
そしてそのままぴくりと耳を動かすと、
全力でどこかに走り出した。
『・・・え?ちょ、まっ、のりす!!』
ぽかんとその光景を見ていたら気づけばそこに猫の姿は無く。
慌てて追いかけてみたが、追いつけるはずも無く。
ここがどこかも解らない。
もう一つ最悪なことに、この廊下には絵画が無かった。
『・・・ほんと、どうしよ・・・。』
ぽつりその場にたたずむ私に返ってくる言葉など無い。
ガラガラガッシャーン
『わ!何!?』
暗い廊下で微かに聞こえた音はあまりにもよく響いて。
びくりと肩を震わせる私の耳に今度は足音が聞こえてきた。
『お、ばけ!?』
恐怖で動けない私の前に現れたのは4人の人たち。
「!ハ、ハリー誰かいるよ!」
「フィルチか?!」
「ちがうわ!フィルチはもっと後ろにいるはずよ!」
「とりあえず、逃げなきゃ!!」
何か私を見つけて、慌ててる?
あっ、方向転換した。
て、
『待って!!』
見つけた手がかりをみすみす見逃すわけには行かない。
とっさに黒髪の少年の腕を掴んだ。
「うわっ!」
いきなり掴まれたのに驚いたように声を上げるとその少年は振り返った。
「っ、・・・え?」
私を見てさらに驚いたように口をぽかんと上げ何かを呟いた。
「女の子・・・?」
「ハリー何してるんだ?!早く行かないと・・・。」
掴んだ少年をせかすような声が聞こえた。
行ってしまいそうになる彼らに慌てて声を掛けた。
「ごめん!ここどこ?ですか?」
「「・・・へ?」」
間の抜けた声が彼らから聞こえた。
もしかして、言葉を間違えたのだろうか?
不安になる私に4人の中で唯一の女の子が話しかけてきた。
「あなた、どうしてこんな時間にこんなところにいるの?寮はどこ?」
「えと、私、は、、ていうです。寮は、無いです。ここにいるのは・・・まよった?です。」
「いや、聞かれても・・・。」
「寮が無い・・・?」
「えと、せいと、ちがう、です。」
「え?・・・」
がたん
そのときだった。
近くのドアが開いたと思ったら、そこから半透明なもの・・・つまり、お化けが出てきた。
それはこちらを見、にやりと笑うと話し出した。
「真夜中にふらふらしているのかい?一年生ちゃん。悪い子悪い子つかまるよ?」
そして視線を私に向けてさらに嬉しそうに笑う。
「しかも、までいる!また、迷子になったんだ!くすくす、怒られるんだろうねぇ?」
「っ、いうな!です!きょーじゅに言うな!です!」
苦手だこのお化けは特に。
私の行動をよく告げ口するのだ。
きょーじゅに。
その後のきょーじゅの恐ろしいことってばない。
くどくどと説教されるのだ。
しかも長時間。
私の言葉を無視して、おばけ、ぴーぷすは大声で言った。
「生徒がベットから逃げ出した!妖精の魔法教室の廊下にいるぞ!」
その声にばたばたとした足音が聞こえてくる。
「逃げなきゃ!!」
と、4人が廊下を走り出した。
なぜか私も連れて。
『え?』
突き当たった廊下。
鍵がかっかってるらしく開かない。
がちゃがちゃとドアノブをひねる赤毛の彼に代わり、女の子が杖で何かを呟く。
がちゃりと開いたドアに4人は身を滑らせた。
私はいつの間にか手が離れていたため、それについてくことができず、そこに取り残された。
「ピープス!!生徒はどこへ行きやがった!?」
聞こえてきたのは管理人の声。
「どうぞ、といいな。」
「ふざけるな!どこへ行った?!」
「どうぞといわなきゃ、なーんにも言わないよ。」
「しかたがない、どうぞ。」
「なーんにも。言ったろ?どうぞといわなきゃ、なーんにも言わないよって。見つけたのはあの迷子だけだよ〜。」
そう言って私を指差した。
彼らのやり取りの意味を把握しようと聞いていた私に管理人さんの声が聞こえた。
「・・・、か?」
「・・・は、い・・・。迷い、ました。です。」
管理人さんの傍にはみせすがいた。
(・・・みせすのせーだ。)
そうなんすることはなくなりました
そういえばあの人たちの名前さえ聞いてない。
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