ドリーム小説
魔法17
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
私の目の前には不機嫌なきょーじゅ。
何も言わずにこちらを見ている。
(・・・どうしよう・・・。)
事の発端は私が迷子になったこと。
よくあることだが、今回は見つかった場所が悪かったらしい。
私がいたのは4階の禁じられた廊下、と言うところらしかった。
ここは立ち入り禁止場所だと、何度も何度もきょーじゅに念を押されていた。
にもかかわらず、私はその場所にいた。
管理人さんは秘密にしてくれると言ってくれていたが、部屋に戻った瞬間に目の前のきょーじゅから無言の圧力がかかったのだ。
(絶対犯人はぴーぷすだ。)
「・・・さて、どういうことか説明してもらえますかな?」
「・・・みせす、と、離れた、です。気づいたら、あそこです。」
本当のことを正直に話したけれど、きょーじゅの顔はこわいまま。
「では、気づいたらあの場所にいたと?」
「は、いです。」
はあと大きな溜息が聞こえてきた。
それに体が強張る。
「生徒に見られたりは?」
「っ、なかった、です、よ。」
どもってしまった。
これでは自ら見られましたとばらしているようなものではないか。
じとりとした目から、逃れるようにあさっての方向を見る。
静かな時間が流れる。
再び聞こえた溜息はどことなく諦めた様な雰囲気で。
それと同時に頭に乗せられた手。
それは大きくて暖かくて。
「学校の中とはいえ決して安全なわけではない。・・・気をつけなさい。」
かけられた言葉はゆっくりと私の仲間で浸透する。
言葉がリフレインする。
理解するのに時間が必要だった。
たどり着いた答えに頬が緩む。
そうかこれは心配してくれていると言うことか。
「次このようなことがあれば、この部屋から出るのを禁止にしてやろう。」
そう言って離れていく手を寂しく思いながら、きょーじゅの言葉に胸があったかくなるのを感じていた。
「ありがと、です。きょーじゅ。」
「・・・何のことだ。」
「心配してくれた、ですね。」
「ふん。心配などしておらん。いいから我輩に迷惑だけはかけるな。」
そう言い、寝室へと向かったきょーじゅの後をついていく。
遅い時間なのに寝ずに私の帰りを待っていてくれたきょーじゅ。
その不器用な優しさが、きょーじゅっぽくて嬉しいと思った。
ぶきようなやさしさ
それがきょーじゅなのです。
back/
next
戻る