ドリーム小説










魔法160

















「・・・気が済んだか。」

べりり、と音を立てるように引き離されたぬくもり。

名残惜しく感じながらも手を離せば、の体は先輩に包まれて。


ああ、そっか。


その姿にすとん、と理解した。

「だからあのとき泣いたんだ。」

先輩の姿を見て息をのんだことも、

先輩に起こったことに涙を流した理由も。


その想いの向かう先は、たどり着く先はその一つだったんだ。


照れたように笑う

僕の言葉に顔をしかめた先輩。

互いの想いが重なっていることが、明確に感じられて。

「大好きな、ひとだよ」

が甘く、甘く呟く。

少しだけ照れたようにそっぽを向く先輩が新鮮で。

「うん、先輩ならを守ってくれるから、大丈夫。」

思わずそう呟いていた。

「さて、本題に移ろうか」

突如部屋に響いた声。

それは入り口から。

そちらに目をやれば、ひらひらと手を振り笑う一人の男。

それからほけほけと笑うダンブルドア。

男は僕を見てにやりと笑って言葉をはいた。

「おはよう、眠り姫。」

睦月と名乗った男からもたらされたのは想いもしなかった現実だった。




「未来の、世界・・・?」

信じられない事実。

呟いた言葉はひどく幻想じみていて。

でも、先輩の年を召した姿とか、クリーチャーのぼろぼろさ加減とか。

視界に入れたくはないけれど、あの兄の姿とかを見ていれば、それが事実だと思わざるを得なくなって。

「理由はわからないけどね。」

でも、そう言って睦月は僕をまっすぐにみた。

ちゃんが死ぬはずだった君をここにつれてきた。」

「だから、今、君はあのときの姿のまま、長い時を引き替えに、ここにいる。」

向けられた言葉に、いくつもの視線に体が固まる。

意味はわかった。

でも理解がおいつかない。

僕の体は刻むはずだった時間を止めたまま。

今ここにある自分の状態がわからなくて。


小さく、袖が引かれた。

ゆるゆるとそちらを見れば、ぎゅう、と唇を引き締めたがいて。



ことん、と胸の奥、ざわついていた何かが、あっさりと静まった。



「ごめんなさい、レギュラス君」


放たれた謝罪。

瞳に見え隠れするのは恐怖と困惑と。



ああ、どうして、君が謝るの。

僕は確かにあの場所で耐える予定だったけれど、それでも、それでも。


あのとき、最後に願ったのは___



にもう一度あえたこと、喜んでも、後悔はしないよ」



その小さな手のひらを包み込んで、笑って言えば、は泣きそうになりながらも笑ってくれた。























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