ドリーム小説










魔法163




















「なあ、俺と共犯者にならないか。」

そう言って、睦月昴は僕に手を伸ばした___





レギュラス・ブラック

それが僕の名前だ。

最後のあのとき、確かに死んだはずの僕は、なぜかによって生きながらえて。


僕にとっては”未来”のこの場所。

心から崇敬した帝王が、心から嫌悪した帝王が、一度は破れ去った世界。

そして、今、再び復活してしまったそんな時代。


異なる世界からやってきた、魔法の効かないおかしな少女。

それがだと聞いた。

人の魔法を吸収して、自分のものとしてしまう、不思議な体質で。

幼い外見ではあるが、年は17。

時折大人びているように見えたのは、間違いじゃなかった。

彼女が何者であろうとも、今この場所で触れられる、それだけが僕にとって事実で。

兄であるシリウスとの確執も、セブルス先輩との微妙な距離間も、全部全部、この少女が無に返した。


僕が共にあるのはおこがましいほどに、奇跡みたいな少女


そして、と同じで違う存在。

「なあ、俺と共犯者にならないか。」

そう言って俺に手を伸ばしてきたおかしな男。

それが睦月昴。

と同じところからきたけれど、その能力はけた外れ。

未来を詠み、杖もなく膨大な魔力を扱う。

この男は、がこの場所につれてこられた意味を知っていて、自らもその原因にとらわれていたと、そう笑って告げた。

自らが持つ力だけでは飽きたらず、より多くの、巨大な力を求める帝王。

過去崇拝していた記憶があるだけに、嫌悪感もひどくて。

「俺は、これから先を、視ることができる」

その未来に、俺はいないのだと、昴はそう言った。

あの子に助けられた存在は、視える未来をもたないのだと。


「俺が守りたいのは、あの子が笑い続けられる場所。」


闇に染まったその身を、赤く染まったその手のひらを。

笑顔で受け入れたのために。


「俺がおまえにやった知識で誰に手を伸ばそうと自由だ」


浮かんだのはプラチナブロンドを持つ少年。

父とそっくりな外見で中身は異なる子供。

ルシウス先輩の息子で、僕と同じ闇にとらわれそうになっているあの子は、まるで僕をみているみたいで。

自分と似た境遇に、親近感を抱いて、同時に危機感をも抱いた相手。



「さあ、どうする?」





にんまりと笑うその表情に、否定の言葉はこぼれなかった。




















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