ドリーム小説
魔法176
校長の座を指名された私を出迎えたのは、何一つ変わらない彼女だった。
いつもと同じように、出迎えの言葉を、笑顔を私に向けて。
いつもと変わらない声色で、私の体調を確かめて。
いつもと大差ない動作で、私の手をとって。
引き裂かれた魂が、柔らかくつなぎ止められたような、錯覚。
その笑顔に心臓が緩やかに緩和する。
けれど、同時にダンブルドアの最後の顔が、よぎって。
とっさにその手を振り払ってしまった。
幾度となく、いろんなものを奪ってきた私ではあったけれど、これほどまでに痛みを伴う死を与えたのは初めてで。
目の前の、汚れのない少女を抱きしめる資格などないのだと、思い知らされる。
だと、いうのに。
躊躇した私を怒るように、は私に触れる。
手に、体に、頭に、
全身で私を感じるように、その小さな体を精一杯広げて。
私を柔らかく包み込んだ。
ぬくもりが、香りが、
私をこの世界につなぎ止める
愛しい
せき止めていた感情が。押し込めようとしていた想いが、
あっけなくあふれて。
「セブルスさん」
声色に潜む、暖かな感情
私を許そうとする、優しさの固まり
「」
名を呼んで、その小さな体を包み込んで、
甘えるように返ってくる温もりを
手放す術を、私は持たない
いまは、ここが帰る場所
back/
next
戻る