ドリーム小説










魔法178













俺の居場所があるのか。

そう問いかけた俺にお前は答えたんだ

「僕らのそばじゃ不満?」

って。


だからこそ、今、このとき、その手をつかまないはずはないだろう?



なあ、ハリー?




結婚式の最中、キングスリーから入った連絡は最悪なもの。

たとえそれを”知って”いても、現実になってしまえばあっけなくて。

襲来する死喰い人の攻撃を避けて姿を消す参列者。

彼らの攻撃に応戦する騎士団員。


それから、必死に手を伸ばして、つかんで、姿くらましをしようとする3人に、俺は手を伸ばした。


「昴!?」

驚きの声、それはロンのもの。

口をパクパクとさせて言葉を探すハリーはひどく間抜けだ。

「とりあえず、こっちに。」

ハーマイオニーが注目を集める俺たちを路地裏に引っ張り込んで。

小さな鞄から信じられないほどの量の衣服を出してきた。

「ごめんなさい、昴。あなたの服は、その・・・」

自分とハリーとロンと。

服は三人分しか用意がないのだと。

すまなそうに告げるハーマイオニー。

その柔らかな髪をなでて、大丈夫だと返す。

だって、この場所に俺が言るのはイレギュラーなのだから。

ゆっくりと自分の体に触れる。

そのまま指を滑らせて。

そうすれば、結婚式用のローブはすぐにマグル世界で違和感のないものへと変化した。

「相変わらず、あなたの魔法は異質だわ・・・。」

呆れとも感嘆ともつかない音でハーマイオニーはつぶやいた。

「昴」

ハリーがまっすぐに緑の瞳で俺を射すくめた。

まあそれに対して俺はへらりと笑うだけだけれど。

「僕は昴を巻き込むつもりはない。」

言外に、ロンとハーマイオニーはよいのだと、そう告げていることに彼は気がついているのか。

彼の後ろ、二人が顔を見合わせて小さく笑うのがみえた。

「そうは言うけどな、ハリー。」



「俺の居場所はお前等のそばだって、そういったじゃないか。」


魔法大会の優勝杯がつれていった先。

あの墓場で。

お前が告げた言葉を俺は忘れてない。


ハリーが泣きそうに表情をゆがめるから、からりと笑い返せば、とうとう彼はため息をはいた。


「じゃあ、昴。一つだけ、僕と約束してほしい。」


そうして彼は俺に一つの条件を提示した。




守りたいのはあの子が笑える場所。


そのためには、この子たちをも守らねば。


居場所を俺にくれたこの子たちを___





※※※※※

睦月にとって居場所をくれたハリーの優先順位は決して低くはない。





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