ドリーム小説
魔法190
「ハリーポッターが、ホグズミードに姿を現したようだ。」
ようやっと、か。
そんな表情で教授は言った。
睦月君やレギュラス、ドラコがホグワーツで捜し物を初めてそれほどたたない時だった。
ハリーたちがドラゴンで銀行やぶりをした、だとか根も葉もない噂が飛び交っていたときでもあって。
だからこそ、信憑性は高かった。
夜だというのに、教授は大広間に生徒を集めて。
珍しく私がついていくのも拒否することはなく、私はほぼ1年ぶりにみんなの前に姿を現した。
私を見る視線は様々。
どちらかというと友交的ではないけれど、どことなく同情的なものもあって。
けれど、私に向く視線は一瞬。
すぐにそれらは憎悪を含み教授へと向けられる。
ああ、嫌だなあ、と思わずにはいられない
「ポッターがホグズミードに現れた。」
朗々と響く大好きな声
「もしこの中で匿っているものがいるのだとしたら。」
それに酔いしれるように耳を傾ける
「今すぐにポッターを差し出せ」
ざわめく大広間。
皆が左右を見渡して。
予想していたそれに、教授は再度声を上げた。
「隠していたものには罰を。」
教授の視線から目をそらすように皆がうつむく
「何かを知っていて、隠すものにも相応の罰を___」
「その必要はない!」
ざわり
響いた声。
それはグリフィンドールの列から。
ゆっくりと姿を現す一人の少年。
変わらないめがねをかけて、緑の瞳を瞬かせて、彼はまっすぐとこちらをみた。
「僕は、ここだ。」
そこには紛れもない、ハリーポッターの、姿。
同時に開く、大広間の扉。
その向こうにはたくさんの騎士団員の姿。
沸く、大広間。
広がる歓声。
けれどそれを遮るように、向けあう互いの杖
ハリーの前に副校長がでてきたから、私も教授の前へと足を進めて。
走る魔法の軌跡。
それはすべて愛しい人へと向けられて。
考えるまもなく、体は動く。
「セブルスさん!!」
副校長先生の攻撃を体で受け止めて。
様々な魔法を体に取り入れて。
そして、ぶわり、怒りを爆発させる。
そうすればたまっていた魔力があたりに満ちるわけで。
「これ以上、この人を傷つけないで。」
大好きな人を、優しいこの人を。
その向こう、ハリーのこわばった顔なんか、知らない。
「そいつがなにをしたか、知らないくせに!!」
うるさい
「この人がしている意味を、知らない人に言われたくない!!」
この人に守られて、なにも知らないままのあなたなんかに。
ハリーは緑の瞳を怒りに染めて、私の後ろを見る。
「おまえがなにをしたのか、わかっているのか?!」
うるさい、うるさい
「教授の何を知っているの?!」
いつだって罪の意識にとらわれてもがくこの人を
この人の、傷を、罪を、罰を、痛みを、生き方を、すべてを
知らない人に、知ろうともしなかったくせに、この人をもう、傷つけさせは、しない!
ハリーへと、副校長へと、怒りをそのまま魔法に変換、し、て__
「このバカが。」
後ろからの低温ボイス。
同時に体に温もりが回って。
ぶわり、怒りが拡散する。
ぐい、と浮遊感を感じたその次の瞬間、体は窓の外へ。
怖いと感じないのは、この人が支えてくれているから。
卑怯者、と叫ぶ
その声をおいて、窓の外、彼の腕の中で。
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