ドリーム小説










魔法192








帝王との全面戦争に、なる。

そのためにこの学校に守りをかける。

シリウスやルーピン夫妻。

それからウィーズリー一家。

騎士団員のメンバーが、教授達がそれぞれ思い思いの魔法を学校にかける。

それはもちろん俺も例外ではなく。


最後の決戦の地であるこの場所。

少しでも被害が減るように。

視た世界のようにはならないように。


力を、注ぐ。


「昴!!」


呼ばれた方へ向けば、走りよってくる三つの影。

卒業を果たし独立している三人を見るのは久しぶりな気がして、小さく笑う。

「久しぶり、セドリック、フレッド、ジョージ。」

闇払い見習いの制服をまとい、凛と立つセドリックは大人びたように思う。

「「昴、生きてるな?」」

第一声がそれってどうだ、双子たち。

「ああ、見たとおり、生きてるよ。おまえ等も生きているな。」

俺の言葉に二人はにんまりと笑う。

「昴」

真剣なセドリックの表情。

それをまっすぐに見返せば、ふ、と表情は和らいで。


「死ぬなよ。」



見透かすようなまっすぐな目。


俺は本当にこいつのこの目が苦手だ。


うそをつくのは許さないとばかりのこれが。


「・・・善処する。」


困ったように笑って言えば、双子がずしり、後ろから飛びついてきて。


「昴、死んじゃだめだよ」

「まだ色々手伝ってもらいたいことあるんだから。」


フレッドと、ジョージが笑う。

フレッドの顔が、ぶわり、ゆがむ。


夢のなか、視た世界が、よみがえる。


白く白く、色あせた世界。

目の前の彼が物言わぬ存在に成り下がった世界。



ぐらり、視界がゆれた。



「昴、大丈夫か??」


それを支えてくれたのはセドリックで。


ぐわん、と頭が揺さぶられる。


落ち着け、落ち着け。


目の前のこいつは、セドリックディゴリーは生きている。


あのとき、ちゃんが、確かに助けた。







でも、この先死なないと、誰が決めた?

でも、この先代わりに誰かが死なないと、誰が言った?




とらわれるな




その葛藤はとうの昔に終えたはずだ。

助けた者の先など、誰一人わかりはしない。


ならば、俺が今できるのは、

今俺ができるのは、




目の前の、今、を。


決して後悔しないよう、生きるだけだ。




フレッドの顔をつかんで

「死ぬなよ、フレッド。」

セドリックの肩を引き寄せて

「生きろ、セドリック」

ジョージの頭をなでて

「戻ってこいよ、ジョージ。」


発した言葉は魔法のように彼らの中にしみこんで。



当たり前だろ、と笑った顔が、ただまぶしかった






それはたしかに希望だった。














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