ドリーム小説



魔法197














つまり、僕は___


憂いから戻ってきた世界で、僕はただ呆然と立ち尽くすしかできなかった。

スネイプの噛まれた箇所を治療をするポンフリー。

そのそば、彼にしがみつく

ロンとハーマイオニーはそこにはいなくて。


つまり、僕は、



憂いの世界で見た記憶がよみがえる

スネイプの記憶。


その中には、僕の両親の姿が、名付け親の姿が、大好きな人たちの姿がたくさんあって。

そして、かつての世界で、スネイプに起こった出来事が時系列順に映し出されて。

スネイプと母さんとの出会い。

父さんたち、イタズラ仕掛け人との邂逅。

母さんの目を向けるためにと手を出した闇の魔術にのめり込んでいく。


そして、やってくる、あのとき。


母さんに向けたその言葉は、決裂を示した。


幾度となく謝罪の言葉を述べようと、母さんはそれを聞くことはなく。


幾度となく繰り返されるその反応に、いつしかスネイプ自身も疲れはてて。


卒業を待たずして、彼は闇へと身を落とす。


盗み聞いた予言。

それを簡単に帝王へと差し出して。


そしてその代償とばかり、あいつの愛した人は、僕の両親は、襲われた。


彼に残されたのは、大嫌いな男の容姿を持ち、愛した女性の瞳を抱く僕。

そして、それを守ることを課されて。


守り、続けてきたのに。


僕に、残されていることは、



「ハリー。」



回らない思考で考えていれば、ふいに温もりが手に触れた。

ゆっくりとそちらを見れば、昴の姿。

なあに、と聞くつもりで首を傾ければ、いつもは笑っている彼の表情が、困ったようにゆがめられて。


「ごめん」


何の謝罪か、わからないうちに、僕と変わらないくらいの大きさの温もりに包まれた。

「ごめん」

二回目の、謝罪。

その意味はやっぱり分からないけれど、それでも、気づく。

ああ、昴は僕が最後にしなければいけないことを、わかっているのだと。


「昴」


名前を呼んでみたけれど、かれはけっしてぼくをみない。


「ごめん、ハリー」


三回目の謝罪。

なんだか珍しいその様子に、笑いがこみ上げてきて。


くつくつと笑いだした僕を昴はようやっとみてくれた。



「なあ、ハリー」


ゆっくりと体がはなされて、ぽん、と頭をなでられて。




今にも泣き出しそうなくらい不器用な顔で、昴は笑った。




「死ぬなよ。」



僕はそれに、否定も肯定もできなかった




だって、僕の未来は___













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