ドリーム小説
魔法198
「きょうじゅ、」
いみが、わからない。
「きょうじゅ、きょうじゅ」
わたしをつつむこのひとが、うごかないいみが
「きょーじゅっ」
わたしのこえに、こたえてくれないいみが
このひとのからだからながれるあかいいろのいみが
いやだ、いやだ
頭の中がぐちゃぐちゃにかき混ぜられる
いやだ、いやだよ、やめてよ
おねがいだから、わたしをみて
わたしをよんで
わたしをだきしめて
そのひとみにわたしをうつして
どうして
こえがきこえない
あなたが
、どうして、やだ、いやだ、おねがい、
さけぶ、ぼろぼろこぼれるなみだとか、ぜんぶぜんぶ、そうじゃない
それじゃ、あない
いやだ、いやだ
ねえ、答えてよ教授
わたしのこえに
いきているじかんは、わたしにくれるって、
言ったのに
いやだ、いやだ、いやだ
この人が私をおいていくなんて。
やめて、やめて、リリーさん
この人を連れていかないで。
あなたが私をおいていくならば、いっそ、私も、
唇に、ぬくもりが、触れた。
それは、柔らかく間を縫って。
なだめるように、私の中で動く。
ゆっくりと離れた温もり。
でも、また何度か繰り返されて。
ようやっと離れたその人は、闇色の瞳を揺らしながら、私に聞いた。
「私が、・・・私が死ぬのは、悲しいか?」
ばかじゃないの
ぺしん、
弱い力で、この人の頬をたたく。
全然痛くないだろうけれど、それでも、いい。
私が怒ってることを理解してくれれば。
いつだって、どこでだってあなたに想いを伝え続けてきたというのに。
ちっとも伝わっていないのだろう。
「そんな当たり前なことを聞かないといけないくらい、私の想いはとどいてないの?」
止まっていた涙が、再度あふれる。
ああ、優しい人を傷つけている。
その実感はあるけれど、それでも、わかってほしい。
私はあなたがいないと生きられないのだと。
「」
私を呼ぶ声も
私に触れる体も
私を見る瞳も
私に伸びる手も
あなたを形作るあなたがすべて、愛しいのだと
「わたしの居場所は、お前の側にあるのか?」
ぼろぼろこぼれる涙をそのままに全力で何度もうなづいた
私の居場所は、あなたのそばだけだもの
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