ドリーム小説








 魔法20



「一体何故!こんなにも傷だらけなのですか!?」

マダム・ポンフリーの高い声が地下にある我輩の部屋に木霊する。
「どうやら、トロールにやられたようだ。」
静かに告げた我輩をマダムはきっと睨み付けた。

自室であるこの場所にを運び込んでからすぐさまこの校医を呼んだ。
驚きの表情を浮かべた彼女はそれでもすぐに行動を開始した。
脈をはかり、傷口を探す。
そしてはたと気づいたようにこちらを見るとじとりとした目で言った。
「・・・スネイプ教授。Ms,は女性です。」
「・・・解っておりますが?」
いきなり言われたそれの意味が酌みきれず聞き返す。
と、マダムは大きな溜息をつき、こちらをにらみつけた。
「嫁入り前の女性の裸を見るおつもりで?」
「・・・っ!」
ようやく理解したそれに慌ててに背を向けた。

「体全身に打ち身に擦り傷。それから、頭を打っていることも否定できません。」

の診断を終えそこに集った校長、副校長と共に話を聞く。

「いつもであれば、一晩もあれば治すことができるのですが・・・。」
そう言って、の方を見る。

そう。
忘れてはいけない。
には、魔法薬も魔法も効かないということを。

「・・・ミネルバ。」
「何でしょう?アルバス。」
顎の髭に触りふむ、と考えていた校長はそう切り出した。
なぜかとてつもなく嫌な予感がする。
「確かグリフィンドールのMs,グレンジャーはマグル出身であったのう?」
「確かにそうですが・・・。」
「ふむ。薬を持っておると思うのだが。」
「・・・聞いてきます。」

よりにもよってグリフィンドールかと思い苦い気持ちになるが、自分もマグルの薬など持っていないのだから仕方がない。
マダムと何か話し始めた校長を視線の端で捕らえながら、のそばに行く。
いつもはきょろきょろと様々なところに彷徨う瞳は閉じられ、活発な体は微かに上下するだけ。
そっと触れてみれば暖かくてなぜか安心した。

「ふぉふぉふぉ。セブルスも随分と打ち解けたものじゃのう。」
不快な笑い声が響く。
それに顔をしかめたのはおかしくはないはずだ。
慌てて手を離す。
「・・・別に打ち解けてなどおりませんが。」
「最近いつも食事は部屋で取っておるようじゃのう。」
「・・・それは、そうですが・・・。」
思わず言葉に詰まった我輩に追い討ちをかけるように校長は口を開く。
「このあいだ、ミネルバにぬいぐるみを買ってきて欲しいと頼んだらしいのう。」
「っ、あっ、あれは・・・」
「夜は一緒の布団で寝ていることもあると聞いたぞ」
「っ・・・」
「さてさて、セブルス。だいぶん打ち解けてきたようじゃのう。」
「・・・そうかもしれませんね。」


マグルのもつ痛み止めなどをに投与する。

心なしではあるが落ち着いてきたように感じられなくもない。

皆が去った自室にようやく普段の静けさが戻る。
それでもそこか足りない気がするのは・・・



を我輩のベットで寝かせているせいで、寝る場所がない。
仕方無しにソファで横になる。
今更のように痛み出した足を治療するのも億劫で。
そのまま意識を闇に落とした。



目覚めたらまずは拳骨をお見舞いしてやろう。



だからさっさと目を覚ませ。








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