ドリーム小説






   魔法21




体中の痛みで目が覚めた私が一番初めにもらったものは、心配する声でも、安堵する声でもなく、
一発の拳骨だった。

『っつ・・・。』
様々なところから響く痛みにたたかれた痛みまで倍増され、頭を抱える。

「この馬鹿者が!あれほど、部屋から出るなといったろうが!」

がんがん響く声にさらに頭痛は酷くなる。

声の主は、拳骨を落としてきた主はすぐにわかった。
その怒声の中に僅かに、本当に僅かに含まれていた安堵にも。

「ごめ、なさ、い・・・です・・・。」

それを感じてしまったから、どうしようもなく申し訳ない気分になり微かな声でそう告げた。


はあ、と言う溜息が聞こえてきた。
それに恐る恐る顔を上げれば、右手で顔を抑えているきょーじゅ。
その姿があまりにも疲れきっているようで、もしかしてと言う考えが頭をよぎった。
「・・・きょーじゅ。まさか、寝てない、ですか?」
それをきいた瞬間ぎろりと、据わった目が私に向けられた。
「ひっ・・・。」
その目のあまりの恐ろしさに、思わず漏れた声。
それにさらに不快そうに顔をしかめるときょーじゅは起き上がっていた私の頭を掴むとすぐさまベッドへと押し付けた。

「いっ・・・。」

その衝撃にまたもや動けなくなった私にあっさりとした言葉が投げられた。
「さっさと寝ろ。」
今更だけど解ったことがある。
(この匂いは、きょーじゅの・・。)
私がいるベッドはきょーじゅのもので。
つまりやっぱり、寝てないのか。
寝れてもきちんと休めてないのだろう。

それに気づいたとき思わずその場から離れていこうとしたきょーじゅの服のすそを掴んだ。

「・・・なんだ・・。」

不機嫌な声にもうひるみはしない。

「いっしょ、ねるですよ?きょーじゅ。」
はあと言うような顔をしたきょーじゅ。
そのきょーじゅにちょっとつめて、ベッドの端をぽんぽんとたたいた。
その真意に気づいたのかきょーじゅは微妙そうな顔をした。
気にせず、にこにこ笑いながらベッドをたたき続ける。

「きょーじゅここにきて、くれないと、ねない、です。」

その言葉がとどめになったのかしぶしぶと私の横にもぐりこんできた温もりに私はぎゅと抱きついた。





 やっぱりおちつくのです。



  この場所は。








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