ドリーム小説



魔法200









「兄さん!!」


あわてて放った盾の魔法。

それはうまい具合に狙われていた人物を、かばうことができて。

ばくばくと音を立てる心臓をそのままにひとまず息を吐く。

「レギュラス!」

驚いた表情で振り向いた兄さんが、今度は僕へと魔法を向けた。

それは赤い光を振りまいて、僕に向けられていた誰かの魔法を砕いた。

兄さんはほっとしたように笑って。

互いに距離を積めて、背中合わせに立つ。

「ちゃんと前を見ろよ、レギュラス。」

「とちらないでくださいね、兄さん。」

互いに言葉を掛け合って。

無言で自分に向けられていた魔法を打ち砕く。

「兄さん。」

そう言えば、と思い出す。

「ルーピン夫妻の所へ行ってください。」

昴が僕に教えてくれたこれからの世界。

この戦いで命を落とす多くの仲間たち。


全部はすくい上げられなくても、少しだけでも。


そう言って、昴は僕に話してくれた。


ルーピン夫妻は、確か、兄の友人のはずで。


「、わかった。」


理由を尋ねることもなく、兄はうなずいて。

ふいに、頭に、温もり。

「・・・お前にはまだ、兄としてやってやりたいことがたくさんあるんだ。」

ぐしゃり、なでるようにかき混ぜられた。

「死ぬなよ、レギュラス。」


じんわり、沸き上がるのはなんなのか。

さっさといけ、と想いを込めてその手をはたき落とす。


兄の背中をちらりと見送って、そのまま向かうのは、別の戦場。


ドラコが小さな男の子を助けていたり

ネビルが呪文を放っていたり


そこはまさしく戦場で。



かつて、経験したそのどれよりも激しい世界に、恐怖がこみ上げる。



それでも、それでも。



あの兄と再度手を取り合えた奇跡を嘘にしないために


再度この足で進むことができることを後悔しないように


_レギュラス君_


僕をすくい上げてくれた彼女が笑える世界にするために。




二度と僕は




屈しはしない







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