ドリーム小説









魔法23



恒例となったきょーじゅの足の手当て。
そのためにソファに座っているきょーじゅの足元に膝を着き包帯と薬を手に持っているのだ。

「・・・いたい、です?きょーじゅ。」
「・・・以前よりはましだ。」
質問に鷹揚のない声で答えるきょーじゅ。
だが、傷の治りは遅い。
痛みは変わらずに大きいだろう。
どうやら毒があったらしく薬の効きが悪いのだ。
校医のところに行くことを提案すれば、知られると面倒だからと言う理由で頑固拒否された。


くるくると包帯を巻く。
はじめに比べれば手際がよくなったと自負している。

そろそろ巻き終わるかと言うとき、きょーじゅの部屋のドアが控え目に鳴らされた。
きょとりと首を傾げた私と対照的にきょーじゅは溜息を落とし、最後まで行ってなかった包帯を私から取ると些か乱暴に残りを巻きつけた。
そして私を見て奥に行ってろ、と言うとドアへと向かっていった。
(きょーじゅにお客さん、珍しい。)
そう思いながらもきょーじゅの言いつけのとおり奥の部屋に入った。


奥の部屋、つまりきょーじゅの寝室だ。
ドアのすぐ前に座り込む。
盗み聞きだとかそんなことをするつもりはなかったのだが、その位置の所為か声がもれ聞こえてきた。


「何かようかね?Mr,マルフォイ。」
「こんな時間にすみませんスネイプ先生。」
「かまわん。用件を言いなさい。」
「はい。レポートの提出期限が今日だったので、持って来ました。」
「ああ。そうだったか。受け取ろう。」

(・・・この声・・・)

私の頭の中に微かな記憶が蘇る。
大きな生物に襲われたときだ。
確かそのとき金色の髪を持った人が、私を支えてくれてて、

『お前、大丈夫か?』

今聞こえたのと、同じ声。


深く考えるよりも先に、ドアを開けていた。
ばたんと言う音に驚いたのであろう。
きょーじゅがこちらを見ていて。
そして、お客さんである彼も驚いた表情を見せていて。
金色の髪、蒼い瞳。
その瞳に浮かぶ強い光は、きっと人をひきつけるものなのだろう。
その人の口が微かに動く。
なんといったかは聞き取れなかったが。

きょーじゅが今日一番大きな溜息を落とし、こちらを睨みつける。
「Ms,。我輩は大人しくしている様にと言ったはずだが?」
その声は低い。

(・・・珍しく本気で怒ってるよね、きょーじゅ・・・。)

ここはとりあえず謝っておくべきだと早急に判断した私は、口を開いた。
「ごめん、です、きょーじゅ。でも、私、は助けられた、です。その人に。」
そう言ってその人を見ればいきなり向けられた視線に居心地が悪そうで。
「あの時、はありがと、です。おかげで、元気なったです。」
そう言ってぺこりと頭を下げれば困惑した雰囲気で。
「・・・まあいい。マルフォイ。これはだ。とある事情でここで預かっている。」
これといわれたことにむっとして顔を上げるとその人が簡単なきょーじゅの説明に頷くのが見えた。
そしてこちらを向き私の傍まで来ると微かに腰を折り、低い私に視線を合わせて言った。
「始めまして。Ms,。僕はドラコ・マルフォイ。どうぞよそしく。」
そういった顔にはどことなく不敵な笑みが浮かんでいて、見ていたこっちが一瞬どきりとさせられた。
「よろしく、です。えと・・・ドラ、コ?」
「ああ。よろしく、。」
今度こそ笑った顔は年相応のもので、その笑みにやっと安心することが出来た。




きょーじゅこうにんのともだちができました



今まではみんな秘密だったから。








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