ドリーム小説
魔法 33
黒い闇
決してそれは私から離れることはなく。
手が、私を
掴もうと、掴もう、と
つ か ん だ
『っうああああああああああああああああああああああああああ!!』
その絶叫は反響して、再び耳に戻ってくる。
体中を引き裂かれるような痛みは、加減を知らず
続く痛みにあらがうすべも見いだせずただ、ただ叫び声を上げるだけであった。
たすけてたすけてたすけて
幾度目かもわからないその声は、誰にも届かずに。
痛いことが、通常状態で、あたまが、おかしく、なる
ぶわり
体中を包むなぞの感覚。
それは、私を抱き上げるみたいに。
でも、それはただ不快な感情しかもたらさない。
「っ、ぅあっ」
痛みで鈍る思考を必死に動かし、痛みを訴え続ける体に動けと指令を発する。
ぐっと、開いた、涙で滲む世界の先。
そこには、私を覗き込むようにする一つの顔。
それは、とてもとても心配そうに私を見ていて。
ごめんなさい
聞こえないけどそう聞こえた気がした。
「ミ、ミス、・・・」
どもるこえは、どことなく泣きそうで。
「、申し訳・・・」
[お目覚めのようだね、お嬢さん]
言葉が再びはせられた瞬間、辺りに響いた痛みを伴う恐ろしい声。
「っ、あっ」
痛みで鈍っていく思考。
はくはくと口が痛みを逃がそうとするように意味もなく動く。
くつりくつり
姿が見えないその声が響くたび、痛みが波となって訪れる。
[さて、ショータイムの始まりだ。]
あの時、私と一緒にお茶をしてくれた先生は、悲しげな眼で、私を抱き上げる。
ゆっくりと向かう先はわからない。
でも、終着点に、鏡が見えた。
同時に一人の男の子が現れる。
かすむ世界
その先で、痛みにあえぐその姿
きょうじゅたすけて
声は誰に届くこともなく
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