ドリーム小説
魔法36
「はここに残るの?」
「ん、私は帰るところない、から。」
あの時、が終わってから少しだけ時間が過ぎた。
クー先生がどうなったのか、あの怖い声がなんだったのか。
誰も私に説明をしてくれなかったけれど、なんとなく、わかってしまって。
この世界にもう、クー先生がいないんだってこと。
あのどもりながらの話し方を聞くことも、美味しい甘いお菓子を一緒に食べることも、できないんだと。
知ってしまっていた。
そして私はきょーじゅの部屋に戻って、前と同じところにすんでいる。
きょーじゅの部屋のクローゼットの奥の部屋。
そこが今の私の定位置。
「そう、ぜひお手紙書いてもいいかしら?」
今日、生徒は夏休みに入る。
つまり、この場所はまた私がここに来た時の元通り。
さみしい、と思いはするけれど、この場所にいたいから。
「楽しみ、してる、ね。」
ふわふわの髪が可愛いハーちゃんが笑う。
それにふにゃり笑い返して。
「、体はもう平気?いたくない?」
恐る恐る、ハリーがその眼鏡の奥から心配そうな瞳をのぞかせて。
「ん。もう平気。元気。」
腕を振り回して見せれば笑われた。
「ならよかった。」
ぽんぽんと頭をなでられる。
・・・子供扱いだ。
「「!」」
「夏休みの間中」
「君に会えないなんてっ!」
私の両側からサウンドみたいに響くおんなじ声。
がしりと両側から回された手が苦しい。
「ああ、なんてさみしい!」
「え?君もさみしいって?」
「「じゃあ、僕等の家においでよっ!」」
まんざら嘘でもなさそうな顔できらきらとのぞかれて。
ふにゃり、困った。
でも、答えは決まっていて。
「んん、私のおうちは、ここ。」
がくりとした二人にまた笑う。
「けど、また誘って?」
そう言えば浮上したのか、二人が交互に私の頭をなでる。
やめてほしい。
髪の毛がぼさぼさになる。
「フレッドもジョージも!が困ってるだろ!」
赤毛の良心ロンが頭をまわされたぐるんぐるんなってた私から慌てて二人を遠ざけてくれた。
ぎゃーぎゃーと言い合いを始めた三人。
それをフラフラしながら眺めていれば、そっとハリーが横に来て。
「あのね、。あの時の魔法の鏡はね___」
生徒がいなくなった校舎。
静けさに包まれたそこ。
ゆっくりとした足取りで自分の部屋に向かう。
微かにほてった顔を覚ますように手であおぎながら。
「あのね、。あの魔法の鏡はね___
自分の願望を映しだすんだってさ。
ねえ、いったい誰が見えたの?
不器用で怖くて、優しくて、とてもあったかい人。
そんな人が見えました。
※※※※
賢者終了。
たぶん二巻以降書きたいところだけ書いていきます。
ハーマイオニーとは薬をもらった以降から交流してます。
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