ドリーム小説
魔法41
今年の目標。
できるだけ引きこもる。
外にでるたびになぜかあのきらきらした男に絡まれる。
あまりにも耐えきれなくなってきたので、もうこれはとことん引きこもるしかないという考えにいたって。
そのため、最近はよるですら部屋にいることが増えた。
そうなって気づいたのだが、きょうじゅは結構かまってくれる。
外にでるのがいやな理由をいえば、とてもとても苦そうな顔をして納得してくれた。
「もっと姿勢を正して読みなさい。」
寝ころんで本を解読していれば、そんな言葉をかけられて。
のどが渇いたな、とぼんやりと顔を上げればいつのまにか紅茶が用意されていて。
至れり尽くせりとはこのことだろう。
代わりにきょうじゅの作業をお手伝いする。
どうやらそれはきょうじゅにとってありがたいことだったらしく、私の手が必要なときにはいってくるようになった。
きょうじゅの役に立てている、という実感が、なんだかんだで、今の私を支えてくれている。
私にもできることがある、そう思うことで、私の心は落ち着くようで。
「。これを混ぜていろ。」
「はい、です!」
きょうじゅもなんだかんだで私に分かりやすい言葉で、動作で接してくれるわけで。
あったかい。
きょうじゅと私だけの空間の暖かさ。
日の射さないこの部屋だけど、薬品のにおいが充満する場所だけど、私にとっては、本当に居心地のいい場所になっていた。
あらしのまえの静けさといいますか
夜。
まだ就寝時間にはならないため校内には生徒たちが徘徊している。
そんな彼らを取り締まるためにきょうじゅは喜々として部屋を出ていった。
誰がきてもあけぬように。
きょうじゅの忠告はあれど、この部屋にくる人というのはほとんどいなくて。
きょうじゅの好かれなさ具合がとてもよくわかってしまうものだ。
そしてそんな部屋の中で、私は今すごく悩んでいる。
「すみません。スネイプ先生、いらっしゃいますか?」
扉をたたく音と共に聞こえてきた声。
最近ようやっと理解が追いついてきた英語であるが、早口だとまだ無理だ。
気になるのは内容ではなくて、その音。
この声の音は、ひどく聞き覚えがあるもので。
「・・・セド?」
扉を挟んで小さく名前を呼べば、その人はぴたり、ドアをたたくのをやめて。
「?」
疑問詞と共に私の名前を呼んでくれた。
「セド!」
あけるな、との言葉をあっさりと無視して、開けた扉の向こう。
少し驚いた顔のイケメンがいた。
勢いのままその体に飛びつく。
おお、びくともしない!
そして大きい!!
ぎゅうぎゅうと回りきらない腕で抱きついていればさまよっていた手が、ぽん、と頭に触れてきて。
それが気持ちよくてすり寄れば、小さく笑う声が聞こえてきた。
「久しぶりだね、。」
一度あっただけだというのに、名前をちゃんと覚えてくれていて、ちゃんと私を認識してくれて。
それはすごくうれしいことで。
「セド!この前、ありがとう、です!」
顔をまっすぐに見上げていればふわり、それはそれはきれいに笑ってくれて。
「そういえば、はどうしてここに?」
「ええ、と・・・私、ここ、すんでる、ですよ。」
がんばって言葉をつなげて、状況を告げれば再び驚いた表情。
「スネイプ先生の子供、だったり?」
いや、それはない。
それはちがう。
しかしながらそれに対するうまい言葉がでてこずに。
「ちがう、です。んー・・・知らない人?他人?知人?んー・・・?」
困っている私を見かねてだろう。
セドはふわりと頭をなでてくれて。
「にあいたいときにはここにくればいいってことだね?」
ゆっくりと、私が言葉があまり得意ではないことを理解したように、話してくれる言葉。
柔らかく耳になじむそれ。
私にとってとてもうれしい言葉が、返されて。
「セド!うれしい!」
再びぎゅう、と抱きつく。
ああ、でも私からあいたいときはどうしたらいいんだろうか。
「セド、私あいたい、でも、方法ない、」
必死で伝えれば少し考える仕草の後セドがローブから何かを出してきた。
「、これをどうぞ。」
それは小さなメモ帳で。
「あいたいときに連絡をくれる?書けば僕に届くようになってるから。」
優しい笑顔と共にそんなことをいわれたらうなずかないわけにはいかなくて。
「ありがとう!」
セド、本当にイケメンだ!
連絡方法をゲットしました!
「あ、セド、きょうじゅに、用事?」
「このプリントを渡しておいてもらえるかな?」
「まかせる!です!」
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