ドリーム小説
魔法5
(「」は日本語『』は英語)
いつの間にかベッドに入り込んでいた人間。
そいつは、あろうことか再び自分を抱き枕のようにして眠りについた。
『・・・セブルス。わしの知らぬ間に、隠し子など・・・。』
『・・・校長、ふざけないでいただきたい。』
硬直したまま動けないセブルスのもとに現れた二人。
驚きを顔に浮かべるは副校長でもあり変身術の教授でもあるミネルバ・マクゴナガル。
ホクホクとした顔で笑顔を浮かべるはホグワーツ魔法学校校長であり、魔法界でも指折りの魔法使いであるアルバス・ダンブルドア。
その言葉はその二人がセブルスの部屋に入ってきたときのものだった。
『つまりこのこはいつの間にか、セブルスのベットに入り込んでいたというのですか?』
『そのようじゃのう。』
『どうやってでしょうか・・・。セブルス、気づかないくらいに熟睡していたのですか?』
『我輩はそこまで鈍くはない。』
『じゃが、実際気づかなかったがのう。』
推測の域をでないそれらを交わすも結局それが解るのはこの者だけであろう。
一つ溜息をはくとセブルスはローブを握り締めている小さな手をはがす。
そうしてようやっとベッドから立ち上がることに成功した。
と、小さな声を出しそいつはもそもそと起き上がった。
そうして開いた瞳は黒。
黒曜石の輝きにも似たそれは、見ていたこちらを一瞬にして引き込んだ。
「・・・・・・?」
そうして出した声は寝起き特有のろれつの回らない声。
子どものわりに低めのそれは不快感なく耳に届いた。
が、それは聞きなれない言葉
思考が回っていないのか、ぼおとこちらを見ている。
『君は誰かね?ここにどうやって入ってきたのじゃ?』
優しく耳朶に響くようにダンブルドアはそいつに聞く。
が、
「・・・?」
意味が取れないのかはたまた、言葉を知らないのかことりと、首を傾げる。
それにダンブルドアは一度何かを考えるようにあごに手を当て、上を仰いだ。
そして、一拍後ローブの中から杖を取り出す。
そうして呪文を唱えながらそいつに向けて杖を振った。
「!」
金色の光に驚いたのか体を大げさなほどふるわせてそいつは目をつぶる。
『わしの言葉がわかるかね?』
再び問いかけられたそれにも返事はなく。
『どうやら、言葉が通じない上、呪文もきかんようじゃのう。』
『どうしますか、アルバス。呪文がきかないとなれば・・・。』
交わされる言葉に耳を傾けながらふとそいつに視線を向ける。
そこにはようやっと覚醒してきたのであろう者。
そいつは開いた瞳に徐々に恐怖を浮かべる。
それと同時に見えるは不安。
「 ?」
何か言ったのであろうが、やはりそれの意味は取れない。
その様子を横目に見てダンブルドアがマクゴナガルに話を続ける。
『ふむ、どうすべきかのう・・・?』
『そうですね・・・。セブルスの魔法薬を試してみては?』
それに頷きダンブルドアはこっちを向く。
(面倒なことを・・・。)
『ということじゃ。セブルス頼めるかのう?』
『・・・解りました。とってきましょう。』
どうせ拒否権はこちらにはないのだから、おとなしくとってきて、この現状を把握、さっさと帰ってもらわねば。
そう思い、奥の薬品棚へと足を向けた。
と、つんのめる体に引っ張られる感触。
同時にかけられるは解らない言葉。
だがそれはどこかあせりと不安を含んでいた。
一瞬の驚きを顔に浮かべ振り返れば今にも泣きそうな二つの瞳。
思わず、つきかけた溜息を飲み込みわずらわしさを前面に押し出す。
『離して貰えないかね?我輩は暇ではないのだ。』
話した言葉は全く持って好意的ではないというのにその手は離れない。
ぽろり
不意にその瞳から溢れたものに驚き、慌てる。
何もいえないでそいつはただ涙をこぼしていて。
ぎゅっとさらにローブを掴む手に強さが加えられる。
『セブルス。何を泣かしておるんじゃ。』
『なっ、このものが勝手に泣いたんです!我輩は何もしておらん!』
『なにはともわれ、セブルスになついておるようじゃないか。この子のことはよろしく頼もう。』
『何言ってるんですか?校長!』
笑い声に笑い事じゃないと、あたまの中で叫ぶがそれが声になる前に強く握られたそれに改めて溜息を吐いた。
そうして我輩は厄介なものを拾った。
掴まれたローブは離れずに
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