ドリーム小説










魔法50




















教授は最近、とある薬を作っているようだ。

とてつもなくひどいにおいの。

殺人薬か、といいたくなるくらいの。


「教授、誰にあげる??」

問いかけてもとてつもなく嫌そうな顔を返されるだけで。


ちゃんとした答えは返ってこない。

まあいいたくないならば仕方ない。

知らないままでいいことなのだろう。


そう思っていたんだけれど。




くたびれた背広。

疲れたような姿。

教授の不在時にたたかれた扉。

開ければその先に少しだけ驚いたような男の人。

だあれ?

首を傾げれば向こうも同じように首を傾けて。

「セブルスの隠し子・・・?」

何かつぶやかれたけれど、それは聞き慣れない言葉だったため再度首を傾げる。

「教授、今、お留守です。」

告げれば一度、二度、瞳を瞬かせるその人。

「そうか、じゃあまた出直すね。」

くしゃり、頭をなでられる。

柔らかいそれに思わずすり寄ればふわり、甘い香り。

その中に混じる、知っているにおい。

教授が最近作っているもの。


何となく、納得した。

教授はこの人のために作っているのだと。


甘い甘い匂い。

感じる、違和感。

これじゃあ、ない。

心臓がじくりと痛む。


これじゃない、求めるにおいは。


求める人は


「僕はルーピン。今年から闇の魔術に対する防衛術の先生をしているよ。」

お近づきの印に。

そんな言葉を発しながら差し出されるのは甘い甘い匂いの発信源。

、です。」

差し出されたチョコレートを喜んで受け取れば、とても柔らかな笑みを返されて。


「・・・ルーピン。貴様何をしている。」


彼の向こう聞き慣れたぶっちょうずらな声。

ぱ、っと彼の手から離れて飛びつくのは黒い色。

薬の、におい。

「教授!おかえりなさい!」


ぎゅう、としながらいえば、ため息。

でも慣れたから気にしない。


私をはがしたりすることはなく、あきらめたようにそのままで彼との会話を始めた。







甘いにおいより何よりも




この薬の、この人の匂いがいい





























※※※※




back/ next
戻る