ドリーム小説
魔法51
絵画の付き添いのもと、ふらふらと歩く校内。
いつだって新しい発見が見つかるこのお城。
今回見つけたのは、橙色した猫。
ぶみゃあ、ととてもかわいくない声で、かわいくない表情で、そっと私にするよってくるものだから。
そおっとその頭に手を乗せる。
ごろごろ、とうれしそうにのどを鳴らす。
「か、かわいい・・・!」
もっと、もっと、そういうように猫は私の手のひらに頭を押し当ててきて。
ここにいる、ということは、誰かのペットなんだろう。
でもその持ち主はここにはいない、ということは、別に今くらい借りてもいいんじゃないだろうか。
あまりのかわいさにその体を抱き上げてぎゅうぎゅうと抱きしめる。
かわいい、本当にかわいい
「部屋につれて帰りたい・・・。」
「許さんぞ。」
私の独り言、だったはずのその声。
なぜか返事が存在して。
おそるおそる振り返れば眉間に皺を寄せて、ひどく不機嫌な教授の顔。
思わず愛想笑いするくらいには、怖い。
でも、言ってみたい言葉が、ある
「教授・・・猫、かいたい、です。」
猫の前足を両手でつかんで、お願い、と懇願するように合わせてみる。
が、
「元のところに返してこい」
あっさりばっさり。
見事なまでの返し。
どこぞのお母さんのようだ。
想像していたとおりの返しにちょっと笑って。
「はあい」
いい子の返事をしてみる。
そうすれば教授はかすかに頬をゆるめるから。
「クルックシャンクス!」
高くて、でもどこか柔らかい声。
その声を聞いた瞬間、腕の中の橙色が身をよじって。
手を離してやれば器用に着地して声の方向に足を向ける。
教授と一緒にそちらをみれば、ふわふわの髪を揺らして、ハーマイオニーがかけてくるところで。
橙色を優しく抱き止める彼女をみていれば、ふわり、顔を上げて笑みを向けられる。
「が見つけてくれたのね。探していたの、ありがとう!」
まさか誘拐しようしていました、とは返せず、曖昧に笑う。
「この猫を引き留めていたのはこいつだがな。」
「!スネイプ教授」
教授の声にあわててハーマイオニーは立ち上がる。
「教授、ばらす、よくないですよ。」
黙っていてくれればよかったのに、意地悪。
そういうつもりでじとり、とみれば、一つため息。
「グレンジャー、消灯は近いぞ。我が輩が寝るまでには戻ってこい。」
頭を一つなでられて、そのまま教授は歩き出す。
なかなか帰ってこない私を迎えにきてくれたはずなのに、まだ動いていてもいいという遠回しな許可。
優しいなあと頬がゆるむ。
「・・・あれ、本当にスネイプ教授なの?」
驚いたような声を上げるハーマイオニーに笑い返す。
「本当は、すごく優しい、でもとても不器用。」
私の言葉にハーマイオニーは優しく笑った。
「は教授のこと、大好きなのね。」
もちろん!
全力でうなずけばハーマイオニーは私の頭をなでてくれて。
「せっかく久しぶりにあえたんだから、少しだけお話しましょう?」
彼女の言葉に笑顔を返すことで答えた
とてもとても不器用で
すごくすごく、優しい人
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