ドリーム小説
魔法52
「君のこと、校長に聞いたよ」
くたびれた背広
疲れたような顔
かすかに香る、甘い匂い。
落ち着くはずの教授の部屋なのに、落ち着かない。
原因は目の前にいる甘い人。
薬をもらいにきた、そう笑うこの人。
できたら部屋に持っていく、と言った教授を笑顔で押さえ込んで、この部屋にいづわっている。
教授の機嫌はまったくもってよろしくない。
にこにこと目の前の彼はご機嫌だ
ルーピンって呼んでね、そういいながら言葉を続ける。
「は甘いもの好き?」
「好き、です・・・。」
ルーピンはとても楽しそうだが、その向こうの教授の機嫌はもう下がっていく一方で気が気ではない
誰か助けて。
自分を守るために、というか何かにすがりつきたくて抱きしめていたぬいぐるみで顔を半分以上隠す。
「かわいいぬいぐるみだね」
・・・ほめられたら嫌な気はしないわけで
「教授、くれた、ですよ。」
小さく笑って言えば、ルーピンの笑顔が固まった
「・・・セブルスが?」
こくり、一つうなずけば、ルーピンは静かに後ろの教授に目をやって。
「変わったね、セブルス。」
明らかに笑っている。
肩がふるえているどころの話ではない。
とてつもなく楽しそうだ。
無言を貫く教授が哀れである。
「うわーセブルスが・・・どうしよう、おもしろい・・・!」
笑い上戸なのか、笑いが止まらない。
と、
「ルーピン。我が輩の手元が狂っても文句は言わさんぞ」
静かに、でも明らかな怒りを含む声が教授から発せられて。
そうすればぴたり、笑い声は止まる。
そっとこちらを向いた瞳には楽しそうな色がまだ残っていて。
でも少しだけ申し訳なさそうに眉を下げている。
「セブルスを怒らせちゃったね」
いたずらっ子のように、この人は笑う。
教授にはないそれ。
「でもね、」
優しく手招きされて、そおっと近づけば小さな声で耳打ち
「昔はもっとはやく怒ってた。今はすごく柔らかくなったように思うよ。」
今以上に、とはなかなか大変な子供だったんだろうなあ。
そう思うと私も笑い声が漏れてしまって。
ぎろり、向けられる教授の怖い瞳
でも、ぜんぜん怖くない
「きっと、のおかげだね」
ルーピンはそういって、まぶしそうに私を見た
私がなにかできているのならば
そんなに嬉しいことはない
たった一つでもあなたのために
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