ドリーム小説










魔法57





















あの闇は、怖い。

暗闇は、恐ろしい。

いつまたおそってくるのか。

そう思ったら、この部屋から出るのが怖くて。

教授から離れるのが不安で。


だから、ずっとこの部屋にいた。

教授を待って。

時々手紙をくれる双子やセドリック、ハーマイオニーでも、お返事を書くのも億劫で。

そっとその手紙を引き出しにしまいこんだ。

そして、また、教授にすがりつく。


そんな悪循環

それを変えてくれたのは、教授の一言





「セブルスでいい」




教授がそんなことを言うとは思わなくって。

感じていた恐怖も不安も、孤独感も、びっくりするぐらいに一気に吹っ飛んだ。

われながら単純だと思うけれど、でもそれくらい信じられないことだったんだ。

「セブ、ルス」


名前を呼べば、なんだ、と返してくれる。

近くにいけば、仕方がないと頭をなでてくれる。

柔らかな暖かな空間

庇護されているという実感。


それでも、まだ、外の世界は怖くって。


優しい手のひらに、甘え続けていたんだ。






しばらく空を見ていない。

ふ、と思ったのはそんなこと。

外の世界は怖いことばかりじゃないの、知ってるけれど。

それでも、まだ一歩、踏み出せなくて。

世界が闇に覆われる時間。

光が、愛しくて仕方がなくなるとき。

黒色に身を包んだ彼のそばで、丸くなる。





柔らかな声。

セブルスの言葉。

ゆるりと顔を上げれば、そっとなでられる。

すりよれば、目を細められて。


「客だ」


その一言と共に、背中を押される。

扉の前で振り返れば、クローゼットへと入っていくセブルス。

「我が輩はおまえの部屋にいる。気が済んだら呼べ。」

その言葉を最後に、ぴしゃり、クローゼットは閉じられて。

しかたがないので、そおっと入り口に近づいてドアノブにふれる。

ゆっくりと押し開く

、と


「「!!」」

両側のサウンドトラック

なれきったはずの感覚は、久しぶりで心臓が音を立てた。

「大丈夫かい?我らが!」

「元気がない、と聞いたのだよ!!」

驚いて動けない私にやつきばやに繰り出される質問たち。

「フレッド、ジョージ!」

と、べりり、音を立てて二人が引き離されて。

次にはふわり、優しくて甘い、女の子の柔らかさ。

「心配したのよ、!」

ぎゅう、とされて、そして柔らかく放されて。

ぺたぺたと体に触れられる感覚。

無事を確認するようなその仕草。

ふわふわの髪を揺らして、泣きそうな表情のハーマイオニーがそこにいた。










「スネイプ教授に呼び出されたんだ。」

「びっくりしたさ!今度はなにで減点されるのかって!」

「私も一緒だったから、そうじゃないってわかったんだけどね」

セブルスの部屋。

ソファに座るのは三人。

物珍しげにあたりを見渡す双子と

緊張した面もちのハーマイオニー

対照的な二人の反応に頬がゆるんだ。


授業終了後に居残りを命じられて。

仕方なしにのこっていれば、夜にこの部屋に来るように、という内容。

何の罰則かと思うがそこにはハーマイオニーの姿。

の調子が悪いらしい。

そんなことを言われれば、動かないわけがない!


双子は身振り手振りを交えて大げさなまでに話を語る。

そうして再び両手を広げて、ぎゅうぎゅうと抱きついてきて。


「「でも思っていた以上に元気そうでよかった。」」


心配されている、という事実に、ふわり、気持ちが軽くなる。


そして、なによりも。

「・・・セブルス、が、私のために呼んでくれた・・・ですか?」

ぽつり、つぶやけばハーマイオニーがふわりと笑う。

じわり、沸き上がるうれしさを隠すように紅茶を準備する。

私用に、と用意されたティーポットを使ってカップにそそぎ入れて。

蜂蜜を人匙いれこんで出せば、おいしい、と笑顔が三つ。


「すごく嫌そうな表情でね」

「今夜我が輩の部屋に来るように。だよ?」

「僕たちが理由を聞けば、こればわかる。って!」

楽しそうに二人が言葉を放つ。

何度も繰り返される事の顛末。

沸き上がる喜びはとどまることなく。

わらいを交えて離すその姿はこちらまで笑顔になって。

「私は元々聞かされてたのよ。」

ハーマイオニーが優しく紡ぐ。

の元気がないから、少し様子を見てほしい、って。」


そっと、柔らかな手が頬にふれる。

猫のようにすり寄れば小さな笑い声。

優しくて、とてもとてもすてきな友人たち。


「フレッド、ジョージ、ハーマイオニー、ありがとう」

心からの言葉を、自然な笑みと共に伝える。


心配してくれる彼らがうれしい。

気持ちがあったかい。

だって、だって、私は私独りでこの世界に落とされたのに。

そんな私でも、受け入れてくれる人たちがいるのだと。


外をおそれる私が滑稽に思えてくる。


「役得だよ!の役に立てたならね!」

「ラッキーだよ!興味深い部屋もみれたしね」

「二人とも、不謹慎よ!」

にやりと、二人は笑う。

それに怒るハーマイオニーの瞳も、壁にある本棚に釘付けだったりするのだが。


「それにしてもさ、ジョージ」

「なんだい?フレッド」

双子が私の肩をつかむ。

両側から、のぞき込まれるように。

楽しそうな笑みを携えて。


「「本当に我らがは、スネイプ教授に愛されてるね!」」


”愛されている”



その言葉に、かあ、と顔に熱が上がる。


ああ、どうしよう、うれしい。

じわじわと沸き上がる喜び。

教授が、セブルスが、私を気にかけてくれることがとてつもなく、うれしい。


だって、私は迷惑しかかけていないのに。

こんな私を気遣ってくれるなんて。


体だって熱くなる。


うれしくて、うれしくて、でも、どうしたらいいのかわからなくなる。


「・・・フレッド。って、もしかして」

「・・・ジョージ、それはないぜ?」

ひそひそと話す双子の声。

でも今はそれすらあまり耳に入らなくて。

ハーマイオニーはただただ優しく笑う。




壊れものにふれるように、ハーマイオニーが頭に手のひらをおく。

目元を優しく和らげて。

「その感情はね、とても素敵なものだから。大事に大事に暖めなさいね」








好き、だなあ




それがどういう好きかは、わからないのだけれども

そっとハーマイオニーに抱きついた。









※※※
秘密の逢瀬はもう教授にはばれっばれ。
校長たちにさっさと元気にさせんさい、とせっつかれたんだとおもう
このサイトのセブルスはデレが多い。
というかハリーは嫌いだけどほかはそうでもない。
ハーマイオニーは勤勉だし、ふつうに好きそう。
双子もおとなしければ嫌いじゃないと思う。









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